p.118 抽出テキスト
先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン 刺針先端から造影剤を少量注入することにより,中隔に染み状のステインをつくり,穿刺点のテント状変形を確認することもある. b. 心腔内エコーの活用 施術全般の安全性ならびに確実性を飛躍的に向上させるデバイスとして心腔内エコー(ICE)が近年汎用されるようになってきた988). 回転式トランスデューサー(血管内超音波[IVUS]に用いられる360度メカニカル方式)を用いたICEは比較的廉価であり,IVUSと同様の入出力装置に接続して使用することが可能である.ただし,穿刺針やダイレーター先端を視認することは困難であり,心房中隔壁のテント状変形の描出に基づいて適切な穿刺点を同定する989).最近は,断層心エコー同様のフェーズドアレイ方式の心腔内エコーが一般的に用いられるようになっている989).これにより経食道超音波に匹敵する高精度の心内腔画像が得られる.適切な穿刺位置の同定に加えて,左房内血栓の有無,弁膜形成時の治療効果や心タンポナーデといった合併症を各時点でモニターすることにより,治療効率と安全性の向上に活用することができる990, 991). a. MitraClip ®を用いた僧帽弁弁尖クリップ留置形成術 僧帽弁弁輪より4.5 cm(MitraClip ® NTの場合)の高さを確保するために,穿刺部位は卵円窩の高位後壁側の穿刺が有利とされる992). b. PTMC 卵円窩から僧帽弁口,そして心尖部方向にイノウエ・バルーンが同軸性を保ちながら円滑に導入されるように,心房中隔アプローチ位置と僧帽弁輪の距離と角度が適切に確保されていることが重要になる.そのためには,卵円窩の中-下位後壁側の穿刺が有利なことが多い. c. 経皮的左心耳閉鎖術 左心耳は左房上位前方に開口しているため,卵円窩壁下縁からのアクセスが有利である. d. 肺静脈電気的隔離術(PVI) 肺静脈開口部は左房後壁に位置しており,右下肺静脈にデバイスを導入することも考慮して,卵円窩前側下方で穿刺することが有利であることが多い993). いずれの状況も,CT画像,ICE,TEEを駆使したリアルタイムの画像を組合せることにより,穿刺困難に陥っている理由を的確に診断する必要がある. 7.1.5 位置特異的穿刺(site-specific puncture) 7.1.6 注意を要する解剖学的状況(穿刺困難例) a. 心房拡張または中隔偏位症例 巨大右房症例,または心臓・縦隔が胸腔内で左側に偏位している症例,また脊椎・縦隔変形症例では,下大静脈の右房開口部から卵円窩に至る距離が離れているために,穿刺針先端が卵円窩に到達しないことがある.また,心房が拡張偏位して,右房と左房の配列が水平位になるために心房中隔が垂直位(頭-尾側)である症例では,卵円窩に対して穿刺針を正接(tangent)に方向づけすることが困難となり,針先が滑りやすくなる.このような卵円窩の偏位が顕著な場合は,通常用いるBRKよりも曲率の大きいBRK1を利用すると穿刺が容易になることがある. b. 可動性に富む卵円窩,小左房 心房中隔瘤に代表されるように可動性が大きな中隔では,穿刺針先端が左房内深く,場合によっては左房壁にまで到達して左房壁の穿孔に至ることがありうる.同様のトラブルは左房内腔が狭小な場合にも生じやすい. 穿刺針の先端が左房内腔に進入するや否や,0.014から0.018インチの血管形成用ワイヤを穿刺針内腔から左房内,そして左上肺静脈に進め,同ワイヤをモノレールとして,安全に穿刺針と左房カテーテルのユニットを左房内に導入するようにする.中隔の過剰な伸展を防止するうえで,RFニードルの使用も有用である. c. 心房中隔肥厚例 心房中隔肥厚の原因は多岐にわたるが,代表的なものとして脂肪変性(lipomatous change)に伴って肥厚する例,心房中隔穿刺再施術,開胸心臓外科手術の既往,高齢患者,また腎透析患者などにみられる卵円窩の硬化変性などがあげられる.RFニードルの使用により,施術が容易となるケースが多い. 1下大静脈(IVC)の閉塞. 2重篤な出血素因. 3心房粘液腫の合併. 4左房内血栓.とくに心房中隔に血栓が存在する場合は 絶対禁忌となる.左心耳に限局された血栓や,経口抗凝固薬が十分な期間投与されている場合は,施術が可能である.そのほか,禁忌ではないが危険性が高いために,心腔内エコーや経食道心エコーのガイド下に十分な注意のもとに行うべき症例として以下があげられる. 1左側大腿静脈からアクセスされた症例. 2硬化した腸骨動脈や大動脈の著しい屈曲蛇行により 静脈の圧迫や走行の偏位がみられる症例. 3胸腰椎の高度な側弯,変形のために,IVCから右房・ 7.1.7 心房中隔穿刺術が不適応となる症例