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p.115 抽出テキスト

ASAレジストリ研究の結果が報告された967).登録症例の平均年齢は58±14歳,女性が49%,フォローアップの中央期間は5.7年であった.30日死亡率は1%,1年,5年, 10年生存率は各98%,89%,77%であった.左室流出路圧較差は,67±36 mmHgから16±21 mmHgへ減少した.より多くの量のエタノール使用は,左室流出路圧較差減少に対してより効果的であったが,同時に周術期の完全房室ブロックの発症率も上昇した.86%の症例がNYHA心機能分類I度以上の改善を認めた.本報告では,PTSMAに伴う周術期合併症は低く,また長期死亡率も低率であり,重症症候性閉塞性肥大型心筋症に対するPTSMAは,症状軽減および左室流出路閉塞の解除に有効な治療法であると結論づけた.ただし,術後の左室流出路閉塞の増悪は,症状および予後の悪化と関連があり,流出路閉塞解除のために,適切な治療が選択されるべきとしている.なお,本報告を解釈するうえで,PTSMAの経験が豊富な施設での成績であるという点に注意すべきである.

頻脈性不整脈(心室頻拍,心室細動)および徐脈性不整脈(完全房室ブロックなど)のほかに,エタノール注入,カテーテル手技や一時的ペースメーカ挿入,留置に伴う合併症がある.各合併症の頻度では,完全房室ブロックがもっとも多い合併症であり,10~15%とされる968-970).完全房室ブロックについては,注入したエタノール量と関連があるという報告もあり967),焼灼心筋量が多ければ合併率は上昇するが,エタノール量が少なくても中隔最基部を栄養する中隔枝にエタノールを注入した場合は併発する場合もある.手技中の完全房室ブロック合併は血圧低下をきたし,手技の継続を困難にすることがあるので術者は合併した際の対応について習熟する必要がある927).文献上,心室細動をはじめとした心室性不整脈の発生率は0.5~3%前後936, 967, 969),カテーテル関連合併症(穿刺部合併症や冠動脈解離など)は0.5~1%前後969, 971),エタノール漏出に伴う左前下行枝領域の心筋梗塞930)や一時的ペースメーカ挿入および留置に伴う心タンポナーデはきわめてまれとされている.

日本循環器学会/日本心不全学会心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)における植込み型除細動器(ICD)植込みの二次予防と一次予防は図23のとおりである927).明らかな致死的不整脈の既往は,二次予防としてクラスIの適応とされる.一方,一次予防のためのICD植込みは,主要リスク因子と修飾因子により判断される.閉塞性肥大型心

6.1.10 PTSMAの合併症

6.1.11 ICDの適応筋症であることが,突然死リスクの修飾因子の1つとして

あげられており,SRTを行ううえで,事前にICDの植込みが必要か否かを検討することはきわめて重要である.ICD適応の症例においては,SRTを行う前にICD植込みを躊躇するべきではない.

7.1 成人の心房中隔穿刺術

心房中隔穿刺術は,心房中隔を穿刺し,経静脈的に右房から左房にカテーテルを挿入する手技である.1955年にRossらにより考案されて以来,手技と器材に加えられた改変はごくわずかであり,古典的な技術の一つとして現在に引き継がれてきた972-974).1950年代後半から1960年代後半には,左心房と左心室の内圧を測定する診断手法として,重要な役割を担っていた.ところが1970年代に入ると,経動脈的逆行性アプローチが主流となり,その件数は激減した.1980~1990年代になると,そのおもな適用は経皮的僧帽弁バルーン裂開術施術時における経皮的アプローチの手段に限られていた.この傾向は,2000年代に入り大きく変化した.構造的心疾患に対するカテーテルインターベンションや電気生理学検査,カテーテルアブレーションの進歩に相まって,的確で安全な心房中隔穿刺術が追求されるようになってきた.

a. 左心内圧血行動態評価

肺動脈楔入圧は,左房圧を代替するパラメーターとして使用されているが,肺高血圧,高度僧帽弁逆流症,僧帽弁人工弁置換術後,僧帽弁狭窄症,肺動脈静脈の先天性形態異常を有する症例においては,両測定値間に大きな乖離を生じて診断治療に影響を及ぼす可能性がある975, 976).このような状況下において,正確な左房圧や経僧帽弁圧較差を診断するためには,心房中隔穿刺術により直接左房にアプローチする必要がある.人工弁置換術後の大動脈弁977),大動脈弁位に疣贅を有する感染性心内膜炎など,逆行性に大動脈弁を通過させることが禁忌となる症例や,高度な大動脈弁狭窄症症例に対しても,逆行性ワイヤ通過,カテーテル操作による大動脈弁石灰化プラークの剥離,塞栓

7 特殊診断治療手技

7.1.1 心房中隔穿刺術の概要

7.1.2 適応