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p.11 抽出テキスト

心エコー,造影CTやMRIなどの画像診断法の進歩により,診断を目的とした心臓カテーテル検査は減少した.一方,カテーテル治療法の発展により心臓カテーテル全体におけるカテーテル治療の比率が増加している7).

心臓カテーテルは,観血的な手技である.そのため穿孔を含む血管損傷,出血,血栓,感染,神経系合併症,不整脈などの合併症に加え,造影剤による薬剤性アレルギーやアナフィラキシーショックなどの合併症や有害事象のリスクを0%にすることはできない1, 7-15).小児では,全身麻酔や鎮静を必要とすることが多く,麻酔・鎮静による呼吸抑制や肺合併症のリスク,循環動態への影響などによるリスクが加わる16, 17). さらに,放射線被曝のリスクも成人より大きい18 -20).

小児のリスク因子は,小児であること自体による未熟性や体格の問題に加え,先天性心疾患などの解剖的異常の多様性,容易に循環の破綻を生じる不安定な血行動態,遺伝子疾患のような全身疾患の合併など,手技以外の多くのリスク因子がある7, 10, 14, 21).さらに,緊急的対応を求めら

第2章 カテーテル治療のリスク・合併症

れることが多いうえに,検査・治療手技の多様性と難度が高く,術者を含めた検査・治療チームの熟練など考慮すべきリスク因子は多岐にわたる10, 14, 21-23)(表6).

過去の報告では,カテーテル検査の死亡率は0.14%,重篤な合併症は1.5~2.1%,軽度の合併症は6.8~9.2%とされている.一方,カテーテル治療の死亡を含めた重症合併症の発生率は1.4~7.1%と報告されている10, 11, 13, 14, 22,  23).とくに最近では,CHARM やIMPACTなどのregistry dataを用いた統計解析が行われるようになり,有害事象発生率の集計がより正確に報告解析されるようになっている.

わが国においても,日本先天性心疾患カテーテル治療学会(JCIC)によるアンケート調査が1990年から行われており,2016年からは全国で先天性心疾患,川崎病心血管後遺症,頻拍性不整脈に対するインターベンションを行う全施設によるonline登録システム(JCIC-registry data)として整備されるようになった24-29).

このシステムによると,カテーテル治療件数は年々増加し,現在では不整脈に対するカテーテル治療も含め,年間5,000件近くのカテーテル治療が行われている.報告された死亡率は0.1~0.2%,合併症の発生率は2.7~3.8%(ステント留置を除くと1~2%)とほぼ一定である(表7).手技のなかでは,ステント留置の合併症発生率が9.3~

1 小児におけるリスク・合併症 (表5)

表5 小児に対するカテーテル治療に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレードMinds

エビデンス

分類

カテーテル治療において,registry data による有害事象発生予測によるリスク層別化を行う. I A B Iカテーテル検査治療の安全な施行のために,非侵襲的診断方法による形態や血行動態に関する術前評価を考慮する. IIa C C1 IVb

カテーテル治療の安全な施行のために,術前計画を考慮する. IIa C C1 IVbカテーテル治療の安全な施行のために,多領域専門職による治療チームで治療内容や合併症対策を情報共有することを考慮する. IIa C C1 IVb