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p.102 抽出テキスト

先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン

る痛み,十分な投薬でもコントロールできない高血圧,早期大動脈径拡大が含まれる論文も散見される845).さらにカテーテルを用いた開窓術(re-entry作成術) 846, 847)や解離によって生じた分枝血管の狭窄,閉塞に対するstentingは多くの論文でその有用性が報告され,その早期成績も良好であることから,必要に応じてステントグラフトと併用されるのが望ましい.

合併症,症状を有さない症例(acute uncomplicated type)に対する治療方法は,ステントグラフトによる瘤化予防を目的とした先制的エントリー閉鎖の有効性に関するエビデンスは確立しておらず848, 849),通常内科的治療が第一選択とさている806, 849, 850).降圧および心拍数コントロールを中心とした至適薬物療法を行ったあとに,画像検査により大動脈解離の状態を確認する.内科的治療の遠隔期に偽腔拡大する症例が少なからず認められることから,解剖学的適合が得られる症例においては症例の選別を行ったうえで比較的早期のステントグラフト治療が考慮されるべきである.

症例の選別に関しては,発症時の画像解析による解剖学的因子の検討から遠隔期予後を予測する試みがなされている.もっとも汎用される因子は発症時の大動脈径である.大動脈全体径40 mm以上が遠隔期大動脈拡大のリスク因子であるとわが国より報告され,諸家により追認されている851-853).その他,偽腔径22 mm以上や854),entryの大きさが10 mm以上が大動脈関連イベントの予測因子としている報告もある855).偽腔の状態に関しては,一般的に偽腔開存型が予後不良とされているが852, 856),partial thrombosisがpatent(double barrel type)もしくはcomplete thrombosisより予後が悪く,また偽腔のpartial thrombosisのほうが大動脈の拡大を早く生じるとの報告もある857, 858).偽腔内の血流をどのように評価するかが課題であり,解剖学的評価だけでなく,真腔および偽腔内の血流,ベクトル,圧変化などを検討することにより,さらなる解析が望まれる. e. 慢性B型解離

慢性B型解離に対する,ステントグラフトを用いたエントリー閉鎖術による破裂予防の有用性は明らかではないが859),エントリーの閉鎖により偽腔への血流が遮断されることで,偽腔内の血栓化が促され,遠隔期に偽腔が退縮し真腔が拡大(大動脈リモデリング)することが報告されている860-862).

慢性B型解離に対するステントグラフトの有効性を検証するために行われた,前向きランダム化比較試験における5年間のフォローアップ863, 864)では,TEVAR群において偽腔の完全血栓化が90.6%の症例に認められた.また,大動脈に限定した死亡率および大動脈拡大率では,内科的治

療と比較して有意に良好な成績が示された.このことから,慢性B型解離に対するTEVARの有効性がおおむね肯定されている778, 849, 865).一方で,エントリー閉鎖後に偽腔血栓化もしくは大動脈リモデリングが得られない症例では,有効性が乏しいことが知られており,術前の大動脈口径やリエントリー数などが残存偽腔内血流および予後に関与するとの報告がある866, 867).また,INSTEAD試験では,解離発症から39日後(中央値)に比較的早期にTEVARを行ったことが,良好な遠隔期予後をもたらした可能性がある.解離発症から3~6ヵ月以内が,大動脈リモデリングの可能性を考慮した至適治療介入時期との報告もあることから868-871),遠隔期リスク因子を有する治療適応症例においては,発症早期(おおむね6ヵ月以内)での施術が考慮されるべきである.また,エントリー閉鎖後に有効な偽腔血栓化もしくは大動脈リモデリングが得られなかった場合に備え,リエントリー閉鎖術などの追加治療選択肢を事前に考慮したうえでTEVARの適応が検討されるべきである. f. 感染性大動脈瘤,大動脈~気管瘻,食道瘻

全身状態が不良な症例に対しての,外科手術までの破裂防止を考慮した橋渡し的な使用の有用性は明らかである872, 873).一方で,根治を目的としたステントグラフトは,遠隔期予後が外科手術と変わらないとする報告があるものの,感染再発のリスクがあり遠隔期成績が劣るとの報告もあることから,その有用性についてはいまだ一定の見解は得られていない874-876).また,大動脈~気管瘻,食道瘻に関しては,破裂状態を修復し,一時的に循環動態を安定させる点で有用性はあるが,感染をいかに治療するかが問題であり,根治術として有用性が高いとする論文は少ない.

ステントグラフトを安全に目的部位に運び,適切かつ十分なlanding zoneを確保して留置することが手技成功の要点である. a. 術前プランニング(表80,表81,表82)

成功の鍵は,術前のプランニングである.MDCTを撮影し,3D viewerを用いて詳細に観察することで治療対象部位,および大動脈弓部から鼠径部に至る血管性状を確認する.MDCTは,壁の性状,アクセスルートの状態などを詳細に評価するためにthin sliceでの撮影が望ましい.さらにlanding zoneの径および長さと病変長を測定し,適切なサイズのステントグラフトを選択する.また,治療部位が腹部大動脈であってもガイドワイヤやカテーテルが先進するため,胸部領域を含む全大動脈の血管性状を評価することが望ましい.

5.1.3 ステントグラフト治療の方法