GL検索 v0.1.0
画像は 101 ページを描画したものです
page 101

p.101 抽出テキスト

第一選択治療として考慮されるべきである.ステントグラフトにより,大動脈損傷を伴う多発外傷の治療成績は飛躍的に向上したとされ831),近年導入されたデバイスにより急峻な大動脈への追従性が向上したことが成績向上に寄与していると考えられている. b. 大動脈瘤破裂

胸部下行大動脈瘤破裂に対するステントグラフトの成績は,外科手術に比べて良好で832-834),推奨される治療である778).これは前項の外傷と同様,外科手術に比べて,短時間で破裂部位の出血をコントロールできるためである.ただステントグラフトは下行大動脈においては推奨できるが,解剖学的に治療困難な上行大動脈,弓部大動脈,胸腹部大動脈に関しては推奨できない.また現在の流通状況では,多様なデバイスを院内に常備することは困難である.今後,緊急時のデバイスの搬送について,環境改善が望まれる.また,腹部大動脈瘤においては,血行動態を維持しながら手術に移行できる準備をしたうえでのステントグラフトは,良好な成績を収めている835-837).ただ慎重な治療

戦略が必要である. c. A型解離

上記解剖学的適応にて記載したとおり,急性・慢性においても現在のデバイスでは推奨できない.また,遠位弓部(左鎖骨下動脈末梢)からの逆行性解離においても,中枢側landing zoneが解離部分となるため,現状のデバイスではその有用性について明確にした報告はない. d. 急性B型解離

解離により合併症を有する急性B型解離(complicated type B)に対しては,わが国および欧米のガイドラインにおいてステントグラフトが推奨されており778, 806, 807),その手技はほぼ確立されていることから,第一選択治療として考慮されるべきである838-843).Complicated type Bとしての定義は,原則としては大動脈破裂と脳・脊髄・腹部分枝・腎・末梢血管への血流障害である844).しかし,近年complicated Bについての解釈は拡大傾向があり,持続す

表79 大動脈疾患におけるカテーテル治療の病態的適応の推奨とエビデンスレベル

病態推奨クラスエビデンス

レベル

外傷性大動脈損傷カテーテル治療を行う. I B

大動脈瘤破裂下行大動脈の大動脈瘤破裂に対し,カテーテル治療を考慮する. IIa B

腹部大動脈の大動脈瘤破裂に対し,カテーテル治療を考慮する. IIa Bその他の部位の大動脈瘤破裂に対し,カテーテル治療を行うべきではない. III Harm C

A型解離急性,慢性ともにA型解離ではカテーテル治療を行うべきではない. III Harm C

逆行性解離に対し,カテーテル治療を考慮してもよい. IIb C

急性B型解離解離により合併症を有する急性B型解離(acute complicated type)に対し,ステントグラフトを行う. I C

解離による分枝血管閉塞にstentingを考慮する. IIa Bカテーテルによる開窓術を考慮する. IIa B Acute uncomplicated typeでは瘤化防止を目的としてステントグラフトを考慮してもよい. IIb C

慢性B型解離外科的治療適応がある症例に対して考慮してもよい. IIb C

遠隔期リスク因子を有するChronic uncomplicatedに対し,早期(発症6ヵ月以内)の予防的エントリー閉鎖を考慮する. IIa B

感染性大動脈瘤,大動脈~気管瘻,食道瘻破裂もしくは破裂予防のためのTEVARを考慮する. IIa B

根治手術としてのTEVARを行うべきではない. III Harm B

すべての症例は,TEVAR,EVARの解剖学的適応内であること. TEVAR: 胸部大動脈ステントグラフト内挿術,EVAR: 腹部大動脈ステントグラフト内挿術