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p.99 抽出テキスト

スクリーニングエコー検査の推奨とエビデンスレベルを示す.経過観察や治療方針決定には,正確な径が測定できるCT検査のほうが優れている.

1.3 急性大動脈解離

1.3.1 病態と適応

急性大動脈解離は胸痛あるいは背部痛を主訴に発症する致死的疾患であり,胸痛の鑑別に際して常に考慮すべきである.病理学的には,大動脈壁が中膜レベルにおいて二層に解離した結果,二腔の状態を呈するのが特徴である. 70~80%の症例で胸痛・胸背部痛を主訴に来院するが,脳血管障害による失神やARによる心不全症状を主訴とする場合もある.本症は致死的疾患であり,未治療で放置すれば発症後24時間以内に1/4 が死亡すると報告されているため636),的確かつ迅速な診断が必要である(表71).

急性大動脈解離の診断は,1解離の存在および部位の診断,2合併症の有無の診断,に大別される.解離の部位についてはDeBakey分類とStanford分類があるが,治療を考えるうえで解離が上行大動脈にあるか否かで分類するStanford分類が汎用される.このStanford分類では上行大動脈に解離が及ぶ場合にStanford A型と称し,解離が上行大動脈に及ばない場合にはStanford B型と称する.一般的に,A型の場合は緊急手術(主として上行大動脈人工血管置換術),B型では合併症がないかぎり内科治療(主として降圧療法)が行われる.合併症は1心タンポナーデ, 2胸腔内破裂,3AR,4脳血流障害,5冠循環障害,6腎および腹部臓器の虚血等,があげられる.解離の存在と部位,および合併症の有無を正確に診断することが,治療方針を決定する上で不可欠である637-639).

1.3.2 判読

a. 存在診断

急性大動脈解離の存在診断にはCT検査(単純および造影CT検査をあわせて)が,感度,特異度ともに極めて高く,最初に行われるべき検査である.しかし,多彩な症状を呈する例が稀ではなく,CT検査に至らないこともある.欧米では救急外来において,経胸壁心エコー法とDダイマーおよび大動脈解離リスクスコア(Aortic Dissection Detection–Risk Score: ADD-RS) (表72) 640)を含めた診断アルゴリズムが提唱されている(図22) 641).大動脈解離を示唆する経胸壁心エコー法における直接所見として,大動脈内のフラップ,円形または三日月状の5 mmを超える壁肥厚,カルデラ様の大動脈壁潰瘍性病変等があげられ,間接所見としては4 cm以上の胸部大動脈径の拡大,心膜液貯留または心タンポナーデ,カラードプラ法でのARがあげられている(表73).迅速に焦点を絞った経胸壁心エコー法,いわゆるFoCUSが有用であり,FoCUS直接所見

表70 腹部大動脈瘤のスクリーニングエコー検査の推奨と

エビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

65 歳以上の男性に,腹部大動脈瘤のスクリーニングエコー検査を行う. I A腹部大動脈瘤患者の1 親等には,腹部大動脈瘤のスクリーニングエコー検査を考慮する. IIa B喫煙歴のある65 歳以上の女性に,腹部大動脈瘤のスクリーニングエコー検査を考慮してもよい. IIb C喫煙歴と家族歴のない女性には,腹部大動脈瘤のスクリーニングエコー検査は推奨されない. III No benefit C表71 心エコー法による急性大動脈解離の診断の推奨とエ

ビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

TTE とD ダイマーおよび大動脈解離リスクスコアにより救急外来での診断を行う. I B TTE によってA 型解離における合併症の診断を行う. I B造影CT あるいは心臓MRI 検査が不可能な場合にはTEE による診断を考慮する. IIa B TTE による確定診断は推奨されない. III No benefit C TTE:経胸壁心エコー法,TEE:経食道心エコー法.

表72 大動脈解離リスクスコア(ADD-RS)

次の3 つのカテゴリで,カテゴリ内の項目に一つでも該当すれば1 点とし,0~3 点で評価する.

病歴マルファン症候群,大動脈疾患の家族歴,既知の大動脈弁疾患,既知の胸部大動脈瘤,大動脈の治療(手術)症状突然,激痛,引き裂かれるような痛み

身体所見血流障害(脈拍の欠損,収縮期血圧の左右差,局所的な神経学的異常),拡張期逆流性雑音,低血圧・ショック