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進行する.また,ときには人工血管縫着部の右室壁が瘤状に拡大することがある.さらに,人工血管は感染性心内膜炎の感染部位となることがあり,使用する人工血管の種類によっては術後7年以降で感染の頻度が著しく増加する595). 2左室流出路狭窄は術後遠隔期にVSDの狭小化,心内 通路に使用したパッチ部分での狭窄,または大動脈弁下筋束の肥大等により進行する596, 597). a. 適応 ラステリ術後の20年生存率は93%と良好である.しかし,人工血管の再手術回避率は術後20年で41%であり,左室流出路狭窄に対する再手術回避率は95%である597).右室流出路–人工血管の狭窄がなく状態が安定していても,年1回の心エコー法が必要である.人工血管の狭窄や,閉鎖不全の進行,または左室流出路狭窄の進行がある場合は,年2回もしくは病状に応じて検査回数を設定する.左室流出路狭窄やVSDの残存シャントの評価に経食道心エコー法は有用であるが,人工血管の観察には適さないことが多い.人工血管の狭窄が疑われるが,狭窄部位と右室圧の評価ができない場合には心臓カテーテル検査を施行する. b. 判読 傍胸骨短軸断面,もしくは心尖部四腔断面と短軸断面の中間の断面から右室流出路を描出する.胸壁からの観察が困難な場合は,心窩部からの右室流出路断面で観察できる場合がある.人工血管の弁の可動性,弁周囲の血栓形成の有無等を評価し,ドプラ法にて右室流出路から人工血管の狭窄と逆流の程度を評価する.左室流出路狭窄は左室長軸断面で良好に描出できることが多い. 4.3 総肺静脈還流異常術後 総肺静脈還流異常(total anomalous pulmonary venous return/connection: TAPVR/TAPVC)はすべての肺静脈が左房ではなく体静脈系に還流する異常を指す.その多くは新生児–乳児期早期に肺うっ血とチアノーゼで発症し,先天性心疾患の約1~3%を占める598).体静脈系の還流部位に応じた分類(Darling分類)が一般的で,上心臓型(I型),心臓型(II型),下心臓型(III型),混合型(IV型)の4種類に分類される.上心臓型はさらに無名静脈に還流するIa型と上大静脈に還流するIb型に細分され,心臓型も冠静脈洞へ還流するIIa型と右房へ還流するIIb型へ細分される.体静脈系に還流した肺静脈血は体静脈血と混ざり合ったうえで,合併する心房中隔欠損を経由して左心系へ流入する.上心臓型が最も多く全体の40~50%を占め,次いで心臓型もしくは下心臓型で,それぞれ20~30%と10~ 30%を占める.混合型は最も少なく5~10%である.手術は,肺静脈枝が集まって形成する共通肺静脈腔と左房の間に交通を作り,心房中隔欠損を閉鎖する.術後の予後は概ね良好で,近年の術後生存率は85~97%に達する599, 600).しかし,5~18%の症例で術後に共通肺静脈腔と左房の吻合部での狭窄や末梢肺静脈枝の狭窄などが起こりうる601).術後の肺静脈狭窄は術前の肺静脈枝の低形成や,小さい共通肺静脈腔に起こりやすいと考えられているが,発生機序と危険因子についてはいまだ不明な点も多い.術後の肺静脈狭窄は難治性のことがあり,特に末梢肺静脈枝狭窄は血管内膜の線維筋性肥厚によって起こり,再手術やカテーテル治療を繰り返しても狭窄が進行し,最終的には閉塞してしまうことがある602).術後に肺静脈狭窄を起こした症例の術後3年生存率は59%であり,肺静脈狭窄を合併した症例については長期的な経過観察が必要となる600, 601). 4.3.1 適応 術後に肺静脈狭窄をきたさなかった症例の成人期以降の長期予後は良好であり,心エコー検査は症状もしくは胸部レントゲン所見の異常などがあれば行う.しかし,肺静脈狭窄を合併した症例については,狭窄の進行や肺高血圧の進行を定期的に評価する必要があり,年1~2回程度の心エコー法が推奨される. 4.3.2 判読 心尖部四腔断面から,肺静脈枝の血流と共通肺静脈腔–左房吻合部を観察する.可能な範囲でそれぞれの肺静脈枝をカラードプラ法で評価を行い,肺静脈枝と共通肺静脈腔–左房吻合部の血流をそれぞれパルス/連続波ドプラ法で評価する.術後の左房は縫合ラインの影響などによりリザーバー機能が低下していることがあり,この場合には肺静脈血流速波形のS波が小さくD波が高い特異なパターンとなる.一方,肺静脈狭窄をきたした場合には心周期に応じた血流の2相性パターンが鈍化または消失し,連続性血流となり流速は1.5 m/秒を越える603, 604).また,平均圧較差4 mmHg以上を有意な狭窄とする報告もある605).しかし,肺静脈狭窄の進行に伴って肺血管床の血管抵抗が増加し,この領域への肺血流が減少した場合には流速は逆に低下し,圧較差も低下してくることがある.よって,結果の解釈には注意が必要である.肺静脈枝の狭窄には限局型とびまん型が存在するが,形態評価には造影CT検査が有用である601).