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p.90 抽出テキスト

3.4 心房中隔欠損

3.4.1 適応

心電図の不完全右脚ブロック波形,右軸偏位,右室肥大,胸部X線写真上の肺動脈拡大,右室拡大,肺血管陰影の増強,肺高血圧症の鑑別診断などから心房中隔欠損が疑われる場合には心エコー法が適応となる.経胸壁心エコー法で検出困難な小欠損孔例や静脈洞型の診断,カテーテル治療の適応評価やカテーテル治療の術中モニタリングには経食道心エコー法が適応となる.成人になってからの閉鎖術で,肺高血圧,心房性不整脈,心機能低下,房室弁逆流を合併している症例に対する年に1回程度の心エコー法,デバイス治療後の定期的経過観察,デバイス合併症としての心侵食,デバイス脱落を疑う場合の緊急評価に心エコー法が適応となる579).

3.4.2 判読

経胸壁心エコー法では心房中隔欠損の除外診断は困難である.特に静脈洞欠損型などの可能性を疑う場合は,積極的に経食道心エコー法や他の画像診断を用いる.重症の肺高血圧では欠損孔閉鎖術の適応を慎重に判断すべきであることから,TRVや心室中隔の収縮期扁平化所見による右室圧評価を行う.右室流出路,肺動脈に狭窄がある場合には,TRVは肺動脈圧を反映しないので注意が必要である.肺体血流比1.5以上は,心房中隔欠損の左右シャントが有意であることの目安ではあるが,心エコー法による推定肺体血流比は誤差が大きいため,治療法の選択の際の判断基準としては参考にとどめる.併存症として僧帽弁逸脱,僧帽弁裂隙による逆流(一次孔欠損型に多い),肺動脈弁狭窄症に留意して検査を行う.静脈洞欠損型に多く合併する部分肺静脈還流異常は心エコー法での除外診断は困難であり,他の画像診断を用いて評価すべきである.デバイスの閉鎖後に心侵食を疑う場合には,心エコー法で心膜液貯留を評価する.

4 二心室循環術後の評価のポイント

本ガイドラインでは術後の先天性心疾患として,ファロー四徴症,完全大血管転位,そして総肺静脈還流異常を取り上げる. 4.1 ファロー四徴症心内修復術後

4.1.1 概要

ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)は流出路中隔が前上方へ偏位することを最も重要な解剖学的特徴とし,これによって右室流出路狭窄,大動脈の騎乗,そして流出路中隔と洞部心室中隔の不整列で生じる大きなVSDを合併する.そして,そのほとんどで肺動脈弁狭窄や末梢性肺動脈狭窄を種々の程度で合併する.右室肥大はこれらの解剖学的異常の結果として生じる.本疾患は先天性心疾患の5~ 10%を占める.この疾患に対する心内修復術は,VSDを閉鎖したうえで,右室流出路と肺動脈弁や末梢肺動脈の拡大を行う.肺動脈弁狭窄の程度に応じて,肺動脈弁輪を温存する手法と,肺動脈弁輪を縦切開してこの部位にパッチ(多くの場合1弁付きパッチ)を当てるtransannular patch法がある.transannular patch法での術後症例では肺動脈弁閉鎖不全症/肺動脈弁逆流症(PR)がほぼ全例で認められる.PRは術後遠隔期に右室の拡大と機能不全をもたらし,心室頻拍や突然死の危険因子となる580).右室拡大はTRが加わることで右房の拡大が進行し,心房粗動・細動など心房性不整脈の危険因子となる.一方,肺動脈弁を温存した症例では肺動脈弁狭窄が残存することがあり,経時的に狭窄の程度が悪化することもある.また,遠隔期には大動脈基部の拡大が約15%の症例で認められ,それに伴って合併しているARが悪化してくることがある.大動脈基部径の経時的評価とARについての評価も重要である581, 582).

4.1.2 適応

ファロー四徴症術後症例については,状態が安定していても年1回の心エコー法を施行する.中等度以上の右室流出路・肺動脈弁狭窄がある場合,軽度の狭窄でも病変が進行性の場合,または,PRが中等度以上あり,右室の拡大所見を認める場合は,年2回の心エコー法を行う.残存シャントやARについては程度に応じて年1~2回の心エコー法を実施する.PRに対しては,適切な時期に人工弁置換などの介入を行うことで,右室機能や不整脈が回復してくることが知られており,手術のタイミングを逃さないことが重要である583, 584).

4.1.3 判読

PRの評価には図19のような指標が使用される73, 585, 586).傍胸骨短軸断面での肺動脈弁–主肺動脈像が主に用いられ