GL検索 v0.1.0
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p.86 抽出テキスト

European Heart Journal(2016)のposition paper では「LVEFがベースライン値と比較して10%以上低下して, 50%を下回る」をCTRCDの定義としている198).ただし, 10%はLVEFの計測誤差と同等であるため,無症候性であればLVEFの低下が観察された2~3週間後に再検査を行って確認するべきである.3D心エコー法の使用が可能な施設では,断層法と比べて再現性に優れる本法を用いて経時的にLVEFを計測することが勧められる552).

心尖部長軸像3断面からスペックルトラッキング法を用いて得られるGLSは,心筋の歪みを反映する指標であり,潜在的な心筋障害を検出することができる.アントラサイクリン系抗腫瘍薬を投与された患者においてLVEFの低下に先行してGLSが低下すること,またGLSの低下によりCTRCDの発症が予測できることなどが多く報告されている553),抗腫瘍薬治療中のモニタリングにおいては,GLSがベースライン値の15%以上の低下を有意な低下とし, CTRCD発症リスクが高いと判断する554, 555).GLSが計測できない施設では,Mモード心エコー法を用いて計測するMAPSEや,パルス組織ドプラ法を用いて計測する収縮期僧帽弁輪最大移動速度(s’)をGLSの代用指標として利用することができるが,カットオフ値は定まっていない. 3.2 左室拡張機能

CTRCDの発症が予測できる拡張機能指標は確立していない.心毒性のある薬物の投与が予定された患者, CTRCD発症リスクを有する薬物投与中の患者においては,心不全を診断するために,左室拡張不全の重症度と左房圧上昇の有無についての評価を経時的に行う556).表64に心毒性を有する薬物投与時に経胸壁心エコー法で計測すべき心機能指標の推奨とエビデンスレベルを示す.

表64 心毒性を有する薬物投与時に経胸壁心エコー法

(TTE)で計測すべき心機能指標の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

TTE によりLVEF の計測を行う. I C TTE スペックルトラッキング法によるGLS を用いての左室心筋の長軸方向収縮能評価を考慮する. IIa C TTE による左室拡張機能・左室充満圧の評価を考慮してもよい. IIb C

1 先天性心疾患の心エコー法診断の 基本

1.1 心エコー法施行前の準備

先天性心疾患の心エコー法を行う前に,病歴,身体所見(顔貌や体表/体格の異常,チアノーゼの有無,心音/心雑音の異常,四肢の血圧の触知など),外科手術を含めた手術歴,臨床症状について把握することが大切である.右胸

心(dextrocardia)や正中位心(mesocardia)のような心臓の位置異常がある場合もあるため,心エコー法を行う前に確認する557, 558).さらに心エコー装置の設定では,検査を行う年齢に応じた周波数のプローブを用い,至適な画像が得られるように画像設定を行う必要がある557, 559, 560).また,新生児や乳児においては,検査を行うために睡眠導入が必要なことが多い.睡眠薬を用いた検査を行う場合は,必要に応じて酸素飽和度測定によるモニタリングなどを行う557).

第19章 先天性心疾患