GL検索 v0.1.0
画像は 82 ページを描画したものです
page 82

p.82 抽出テキスト

でのリスク評価には限界があり,臨床所見も含めスコア化する試みもある520, 521).近年,3D心エコー法の画質,時間分解能ともに向上してきており,より正確な疣腫の大きさや形態の評価が可能となった522).3D心エコー法は,疣腫以外の感染性心内膜炎を疑う所見,すなわち弁周囲膿瘍(範囲を含む),人工弁の裂開や弁穿孔の評価に有用である523).人工弁置換術後の患者において発熱などの症状がある場合,疣腫が明瞭に同定できない場合であっても,新たな弁逆流の出現は人工弁感染性心内膜炎を疑う.

4 診断に有用な他のモダリティー

4.1 CT

造影CTにより,疣腫は弁または血管に付着する低CT値の結節として描出されるが,小さな疣腫や可動性に富むものは診断が困難である.しかし,心エコー法で観察が難しい人工弁や石灰化病変,膿瘍や瘤などの弁周囲の異常については,造影CTを追加することにより診断能が向上する524–526).心臓病変だけでなく,全身塞栓症の検索にも有用であり,右心系の感染性心内膜炎における肺塞栓の有無検索にも有用である. 4.2 18F-FDG PET/CT

悪性腫瘍,炎症性疾患では,細胞における糖の取り込みが増加することを利用する診断法である.人工弁やデバイス感染など,心エコー法や造影CTでも診断が困難な例において,その有用性が報告されている527).

5 フォローアップ心エコー法の適応 (表59)

感染性心内膜炎の治療開始後は,効果判定のために3~ 7日後にフォローアップ経胸壁心エコー法を行う.ブドウ球菌による感染性心内膜炎は進行が速いことから,より早期にフォローアップを行う.経過中に心雑音の増強や臨床症状の変化がみられた場合にも,随時経胸壁心エコー法を行う.感染性心内膜炎では再発例も少なくないことから,治療終了後のフォローも重要である.このため,治療終了時点での経胸壁心エコー法による弁の形態,残存疣腫の状態,逆流の程度などを評価する.人工弁症例など特殊な例においては,経胸壁心エコー法だけでなく,経食道心エコー法による治療終了時評価を検討する.再発は早期にみられることが多く,治療終了の3~6ヵ月以内にフォローアップを行うことが望ましい.以後も数年間は1年ごとのフォローアップを行う.フォローの際には,感染性心内膜炎の再発の有無,弁機能不全進行の有無,弁機能不全による心腔形態や心機能の変化などを評価する.

1 概要

心臓腫瘤には,心臓腫瘍,血栓,疣腫,先天異常や胎生期遺残がある.心臓腫瘍は原発性心臓腫瘍(良性,悪性)

と転移性心臓腫瘍とに分けられる.心臓腫瘍の発症は,他疾患の検査により偶発的に発見されるものから,心タンポナーデ,心不全症状あるいは突然死での発症と多岐にわたる.原発性心臓腫瘍は約75~85%が良性腫瘍で,粘液腫,脂肪腫,乳頭状線維弾性腫,横紋筋腫,線維腫,血管腫,

第17章 心臓腫瘤または心臓腫瘍