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p.81 抽出テキスト

原性感染性心内膜炎も増加している514, 515).感染性心内膜炎の診断に用いられるDuke診断基準516, 517)において,心エコー法上の陽性所見は2大基準の一つになっており,感染性心内膜炎の診療において心エコー法が中心的役割を果たす.また,心エコー法は診断だけでなく,治療効果判定,フォローアップ,予後評価のいずれにおいても重要な役割をもつ.感染性心内膜炎の診断における心エコー法の役割については,日本循環器学会の「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」514)にも詳述されている.

2 適応

不明熱や塞栓症状など,臨床的に感染性心内膜炎が疑わしい場合には,できるだけ早期に心エコー法を行う.心エコー法で陽性所見が得られない場合であっても,血液培養陽性など感染性心内膜炎の可能性が除外できないときには,繰り返し心エコー法を経時的に行うことが重要である.経胸壁心エコー法は非侵襲的検査であり,必要に応じて繰り返し行えるのが利点であるが,その疣腫検出の感度は,自己弁で約70%,人工弁で約50%と限界があることが知られている.一方で,経食道心エコー法の疣腫検出の感度は,自己弁,人工弁ともに90%以上と経胸壁心エコー法よりも優れている518, 519).このため,感染性心内膜炎を疑う臨床症状があるが経胸壁心エコー法で疣腫が確認できない場合には,積極的に経食道心エコー法を行う(表59, 60).特に,人工弁やペースメーカなどによるデバイス感染症を疑うときや,弁周囲膿瘍の検出には,経食道心エコー法が優れる519).また,経胸壁心エコー法で感染性心内膜炎の診断がついた場合であっても,塞栓症のリスク評価や,外科的治療適応決定を目的とした心内併存病態診断のために,経食道心エコー法を行うことを考慮する.一方で,経食道心エコー法は合併症のリスクを伴う半侵襲的検査であるため,その適応は検査のメリットとリスクのバランスに基づいて決定する必要がある.

3 判読

疣腫は,弁を中心とした心内膜または心内デバイスに付着する周期的に振動する腫瘤エコーと定義される.心エコー法により疣腫の大きさ,形状,付着部位,可動性などを観察する.疣腫と鑑別を要する心エコー法所見として,

血栓,ランブル疣贅,逸脱弁尖,弁の粘液腫様変化,腱索断端,人工弁の縫合糸や弁座,弾性線維腫などの心臓腫瘍があげられる.しばしば画像所見だけでは疣腫と判断するのが難しい場合もあり,発熱や塞栓症状などの臨床所見の他,CRPなど炎症反応や血液培養の結果も合わせて判断する.疣腫の大きさや性状から塞栓症のリスクが予想され, 10 mmまたは15 mmより大きなもの,可動性に富むもの,僧帽弁前尖,ブドウ球菌や真菌由来,増大傾向のものは塞栓リスクが高いとされる514).しかし,心エコー法所見のみ

表59 感染性心内膜炎(IE)における経胸壁心エコー法

(TTE)の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

IE が疑われる全症例に対してTTE を行う. I B新たな合併症が生じた際にフォローアップTTE を行う. I B初回TTE が陰性であっても臨床上IE が疑わしい症例には3~7 日後に再検査を行う. I C治療効果を判定するためにフォローアップTTE を行う. I C

治療終了時にTTE を行う. I Cブドウ球菌菌血症例に対してTTE を考慮する. IIa B無症状の心内合併症の出現を評価するためのフォローアップTTE を考慮する. IIa B TTE が陽性である症例に対してTEE(右心系IE のみの症例を除く)を考慮する. IIa C TEE:経食道心エコー法

表60 感染性心内膜炎(IE)における経食道心エコー法

(TEE)の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

IE が疑われる症例で,TTE で十分な画像が得られない症例にTEE を行う. I B IE が疑われる症例で,人工弁例またはデバイス留置例にTEE を行う. I B IE が疑われるが,TTE が陰性の症例にTEE を考慮する. IIa B TTE:経胸壁心エコー法