p.75 抽出テキスト
ナーデ所見,5抗炎症薬による治療で1週間以内に効果が表れない場合,の一つ以上が当てはまる場合,高リスクと判断して入院・安静加療を行い,心エコー法所見が正常化したことを確認した後に最終的な運動制限の解除を行う431, 435).一方で,心膜液が少量以下で合併症のないウイルス性あるいは特発性急性心膜炎では,心エコー法をはじめとした画像診断によるフォローアップは必要としない434).表54 に急性心膜炎における経胸壁心エコー法の推奨とエビデンスレベルを示す. 心膜液貯留への対応では,貯留量のみならず病状経過と血行動態の把握が非常に重要である431).急激な心膜液貯留の原因として,急性心膜炎,心筋梗塞,上行大動脈解離,外傷,開心術後やカテーテル検査・治療による医原性があげられ,経過中に心陰影の拡大や低血圧,胸痛など病態の変化があれば,心膜液貯留を疑って心エコー法を行う.心タンポナーデを呈する場合,細菌感染性・癌性・あるいは全身炎症性疾患に伴う心膜液貯留が疑われ,心膜液の性状評価が必要な場合は,心エコー法ガイド下(および透視化)で心膜穿刺によるドレナージを行う431, 433, 434, 436).ドレナージ後の心エコー法によるフォローアップは必須であり,特にドレナージ直後は連日行う431, 434).退院後も再発のリスク評価のために,心エコー法によるフォローアップを行う431, 434).慢性経過の特発性心膜液貯留では,中等量の場合6ヵ月ごと,多量の場合は3~6ヵ月ごとに心エコー法でフォローアップすることが望ましいが431, 433, 437),多量の場合はその後30~35%が心タンポナーデとなるため,心膜穿刺も考慮する431, 436).表55に心膜液貯留症例における経胸壁心エコー法の推奨とエビデンスレベルを示す. 収縮性心膜炎の病因は多彩であるが,先進国では特発性あるいはウイルス性,開心術後,放射線治療後が多くを占める.アジア圏では結核性もまれではない431).原因不明の右心不全で収縮性心膜炎が疑われるときは,心エコー法が必須となる.心膜による拡張期心室流入血流障害が,心エコー法を含めた画像検査や心臓カテーテル検査で証明されることで診断される.収縮性心膜炎は,一過性,滲出性,慢性に分類され,治療法が異なる.一過性の場合,多くが急性心膜炎後の経過で発症し,抗炎症薬の投与で2~3ヵ月の経過で軽快することが多く,造影CTや心臓MRIで心膜の炎症を確認することは治療効果を予測するうえで有用である431).滲出性収縮性心膜炎は,心タンポナーデを呈している患者の一部でみられる.心膜穿刺による排液後も右心房圧の50%低下が得られない,もしくは10 mmHg未満とならないものと定義され438),手術による心膜切除術が第一選択となる.慢性収縮性心膜炎の第一選択は手術による心膜切除術であるが,本疾患に伴って低心拍出量(心係数<1.2 L/分/m 2),低アルブミ ン血症,肝障害を呈する「終末期」収縮性心膜炎では,手術リスクが高くその効果も乏しい.一過性,滲出性,慢性いずれの収縮性心膜炎においても,治療経過における心エコー法フォローアップは必須である434).表56に収縮性心膜炎における経胸壁心エコー法の推奨とエビデンスレベルを示す. 2 判読 壁側心膜と臓側心膜の間に心膜液が貯留すると,エコーフリースペースとして観察される.心膜液の有無と貯留量は多断面像からの検索で判定する.下行大動脈の内側にあ 表55 心膜液貯留症例における経胸壁心エコー法(TTE) の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 心膜穿刺の際にTTE によるガイドを行う. I B心膜液貯留が疑われた場合にTTE を行う. I C心膜穿刺の適応決定のためにTTE を行う. I C心膜液ドレナージ後のフォローアップをTTE により行う. I C中等量以上の特発性心膜液貯留においてTTE によるフォローアップを考慮する. IIa C 表54 急性心膜炎における経胸壁心エコー法(TTE)の推 奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 急性心膜炎が疑われた場合にTTE を行う. I C急性心膜炎で入院した患者の治療効果判定にTTE を行う. I C急性心膜炎で入院した患者の運動制限解除の判断のためにTTE を考慮する. IIa C心膜液貯留が少量以下で合併症のないウイルス性/ 特発性急性心膜炎に対するTTE によるフォローアップは推奨されない. III No benefi t C