p.74 抽出テキスト
呈する.肥大の程度を定量的に表す指標としては,左室心筋重量があり,その算出法としてDevereuxの式429)がある. 左室心筋重量(g)=1.04×( [左室拡張期径+心室中隔厚+ 左室後壁厚] 3- [左室拡張期径] 3 )×0.8+0.6 また,area-length法やellipsoid法による心筋重量計測法もある.心筋重量を体表面積で補正した値が左室心筋重量係数(LV mass index:g/m 2)である. 高血圧性心疾患における左室拡張機能障害の評価に,パルスドプラ法を用いた左室流入血流速波形,組織ドプラ法による僧帽弁輪部移動速度,および断層法によるLAVIなどが用いられる193).スペックルトラッキング法を用いたGLSは,求心性心肥大を示す高血圧症例で低値を示す.GLSはLVEFに比し左室収縮機能障害の早期診断に有用である430)(第3章 心機能評価とその応用を参照). 表53 高血圧症における経胸壁心エコー法(TTE) の推奨 とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 左室肥大評価のためにTTE を行う. I B左室肥大を有する患者に定期的なTTEを行う. I B心不全高リスク群* の心機能評価としてTTE を行う. I B心不全高リスク群* に定期的にTTE を行う. I C心不全低リスク群にスクリーニングとしてのTTE を考慮する. IIa C心不全低リスク群に定期的なTTE を考慮してもよい. IIb C左室収縮機能評価のために,TTE スペックルトラッキング法によるGLS の計測を考慮してもよい. IIb C *:心不全高リスクとはBNP100 pg/mLもしくはNT-proBNP 400 pg/mL以上,心筋梗塞の既往,eGFR 30 mL/分/1.73m2以上の慢性腎臓病など. 1 適応 心膜疾患には,心膜炎(急性,亜急性,頻発性,再発性,慢性),心膜液貯留,心タンポナーデ,収縮性心膜炎,心膜腫瘍,心膜欠損症などがある.これらの中で,心膜炎,心膜液貯留,心タンポナーデ,収縮性心膜炎は,「心膜症候群(pericardial syndromes)」と総称される431).経胸壁心エコー法は,心膜疾患が疑われたすべての患者に行われるべき第一選択の画像検査であり,心筋病変や心血行動態を含めて多くの情報が得られる431-433).一方で,心膜の肥厚や炎症の評価には,心臓造影CTや心臓MRI が優れているため434),これらの画像診断を組み合わせて診療を行う431, 432). 急性心膜炎は,1心膜炎に特徴的な胸痛,2心膜摩擦音,3心電図における広範なST上昇あるいはP-Rセグメントの低下,4心膜液貯留,のうち2つを満たす場合に確定診断される431).心エコー法は来院から24時間以内に行い,採血での炎症反応上昇や心臓造影CT・心臓MRIでの心膜炎症所見を補助的診断として活用する431, 432).心エコー法で心機能異常がみられない場合でも,心筋炎合併が疑われる症例には,心臓MRI検査が有用とされる431, 432).診療の方針としては,138°Cを超える発熱,2亜急性発症, 3心エコー法で20 mmを超える心膜液貯留,4心タンポ 第14章 心膜疾患