p.69 抽出テキスト
sparkling pattern)は特徴的所見とされるが,診断感度は低い.心エコー法でみられる左室肥大に比し,心電図では左室肥大所見がみられない,あるいは低電位の所見を認めるといった所見の解離も心アミロイドーシスを疑うきっかけとなる.左室腔は狭小化するのに対し,左房は拡大し,心房細動を合併する例も多い.洞調律であっても左房内血栓を認めることがあり,血栓の有無も検索する必要がある.血栓の検索には必要に応じて経食道心エコー法を用いる.高血圧や肥大型心筋症,ASに伴う左室肥大との鑑別において,2Dスペックルトラッキング法を用いた左室ストレイン解析におけるLGSの有用性が報告されている.心尖部のストレイン値が維持され,心基部のストレイン値が低下するapical sparing patternが特徴的に認められると報告されている195, 384).表48 385)に心アミロイドーシスにおける心エコー法の推奨とエビデンスレベルを示す. ATTRアミロイドーシスの進行は比較的緩徐であり,診断後症状が安定している場合は6ヵ月~1年ごとの心エコー法によるフォローアップを推奨する.心不全治療薬の変更後や症状に変化があった場合には随時心エコー法を施行し,左室収縮機能,拡張機能についての再評価を行う. ALアミロイドーシスの場合は進行が速く予後不良であるとされており,無治療の場合の5年生存率は13%とされている.このため,原疾患に対する治療が行われている場合にも,病態把握のための3~6ヵ月ごとの心エコー法によるフォローアップを推奨する.表49 に経胸壁心エコー法による心アミロイドーシス・フォローアップの推奨とエビデンスレベルを示す. 3 心ファブリー(Fabry)病 3.1 病態 ファブリー病はライソゾーム酵素の一つであるα-ガラクトシダーゼA(GLA)の欠損により,本来分解されるべきスフィンゴ糖脂質が分解されず,心臓,腎臓,神経,皮膚など全身のさまざまな組織・細胞に蓄積するX連鎖の遺伝性代謝性疾患である. 3.2 適応 ファブリー病は男性ではヘミ接合体患者であり,幼少期から症状(無汗,疼痛,被角血管腫,難聴,消化器症状)が出現し,加齢に伴い腎機能不全や心不全・脳卒中を併発する.一方,女性はヘテロ接合体保因であり軽症である 表48 心アミロイドーシスにおける心エコー検査の推奨と エビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 左室肥大,左房拡大,心膜液貯留,左室駆出率,乳頭筋肥厚,右室心筋肥厚,心筋エコー輝度上昇,voltage/mass ratioの評価のためにTTE(M モード心エコー法を含む)を行う. I B 心内血栓の検出のためにTEE を行う. I B僧帽弁血流,肺静脈血流,左室流出路血流評価および予後予測のためにドプラ心エコー法を行う. I B左室機能評価のために組織ドプラ心エコー法を行う. I B肥大心における早期心機能障害の検出,心アミロイドーシスの鑑別や予後予測のためにスペックルトラッキング心エコー法を行う. I B [2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドラインからの変更点]「Mモード心エコー法」の項目を削除,「予後予測のためのストレインドプラ心エコー法」の項目を削除,Minds推奨グレードとMindsエビデンスレベルは削除.第1項目:「心囊液貯留」を「心膜液貯留」に変更,「断層心エコー法」を「TTE(Mモード心エコー法)を行う」に変更,第5項目:「肥大心における心アミロイドーシス」を「肥大心における早期心機能障害の検出」に変更TEE:経食道心エコー法,TTE:経胸壁心エコー法(日本循環器学会.2020 385)より改変)表49 経胸壁心エコー法(TTE)による心アミロイドーシ ス・フォローアップの推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル ATTR アミロイドーシスと診断され,症状が安定している場合に6~12ヵ月ごとにTTE を行う. I C AL アミロイドーシスと診断され,症状が安定している場合に3~6ヵ月ごとにTTE を行う. I C心アミロイドーシスと診断されている患者で症状に変化があった場合に再評価TTE を行う. I C ATTRv アミロイドーシスの家族歴がある場合のスクリーニング検査として, TTE を考慮してもよい. IIb C ATTR:トランスサイレチン型アミロイドーシス,AL:免疫グロブリン遊離軽鎖型,ATTRv:遺伝性ATTR アミロイドーシス