p.67 抽出テキスト
すべき心筋症として拡張相肥大型心筋症,不整脈原性右室心筋症,また心筋症としての分類ではないが左室緻密化障害があげられる181). 2.1.3 心機能・血行動態・合併症評価 a. 心機能評価「第3章 心機能評価とその応用」を参照. b. 機能性MR 拡張型心筋症では,左室収縮機能低下,左室拡大,弁輪拡大により弁尖の接合が妨げられ,機能性MRが生じる症例が多い.MRの重症度は予後に影響する因子であり,そ の正確な評価は重要である375, 376).(第5章 2. 僧帽弁閉鎖不全症/僧帽弁逆流症[MR]を参照) c. 左室同期不全 拡張型心筋症では,心不全に加えて左脚ブロックや心室内伝導障害を合併することがあり,左室収縮の同期不全は予後を悪化させる.心臓再同期療法(CRT)を行うが,心エコー指標はCRT有効例を予測しないとされる377).一方,断層法で視認できるapical shuffleやseptal flashの存在はCRTの有効性を示唆する378). 1 心サルコイドーシス 1.1 適応 サルコイドーシスの心病変は,サルコイドーシス患者の予後を規定する重要な要因であり,早期の診断が望まれる.しかし,心サルコイドーシスの病態が多彩であること,また心内膜心筋生検所見以外の特異的な確定診断法が乏しいことから,実際の診断は困難であることが多い.心筋生検を施行しても,サルコイドーシスの特徴的所見である乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫・多核巨細胞を検出する割合は20%以下とされ379),実臨床では,臨床所見や血液検査,各種画像診断により,診療ガイドラインに沿って総合的に診断されることが多い380). 心エコー法は,1全身性サルコイドーシス患者の心病変スクリーニングとして,2未診断の心サルコイドーシス患者が心電図異常や心室性不整脈,房室ブロックなどで受診した際のスクリーニング検査として,最初に施行されるべき非侵襲的検査である. 1.2 判読 経胸壁心エコー法は,心サルコイドーシス患者に特徴的な,冠動脈の支配領域に一致しない局所壁運動低下や壁肥厚・心室瘤(しばしば多発性)の描出に優れており,進行例では,びまん性の壁運動低下やそれに伴う心室内血栓を検出することもある381).心サルコイドーシスに特徴的な所見として,心室中隔基部の菲薄化があげられるが,サルコイドーシスによる乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫は心筋のどこにでも発生し,非連続性の斑状に病変が広がるとされ,症例によって多彩な形態を示す382).心室中隔基部以外では,左室下壁基部(後壁)や心尖部が局所壁運動異常の好発部位とされ,病初期には菲薄化や瘤の形態を示さない場合もある.心サルコイドーシスは心房にも発生するが,心エコー法での診断は困難である.心サルコイドーシスでみられる心室壁菲薄化や心室瘤は範囲が狭く限局性であることも多く,連続しない複数箇所に多発性に観察されることも少なくない.経胸壁心エコー法によるスクリーニングでは,基本断面のみの観察ではなく,傍胸骨アプローチによる短軸断面・長軸断面での立体的・連続的なスキャンおよび心尖部アプローチでの放射状の連続スキャンにより,狭い範囲の病変を見逃さないように細心の注意を払いつつスクリーニングを行う.経胸壁心エコー法で観察 第11章 二次性心筋症