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p.58 抽出テキスト

してさまざまな合併症の早期発見に有用である.そのため,人工弁置換術中の術中経食道心エコー法を推奨する.

術後に関して,生体弁のステント部分や機械弁の弁葉などで生じるアーチファクトが多く,経胸壁心エコー法では十分な観察ができないことが多い.特に僧帽弁の機械弁置換術後では左房側の評価が困難で,しばしば弁周囲逆流の評価が不十分となる.経食道心エコー法は,このような人工弁評価に有用であり,人工弁機能不全が疑われる例では経食道心エコー法の施行を推奨する.特に3D経食道心エコー法は弁周囲逆流や弁可動性の評価に有用であり,可能であれば併せて3D経食道心エコー法も行うことが望ましい.ただし,経食道心エコー法でもアーチファクトによって観察が不十分となる部位が存在するため経胸壁心エコー

表38 人工弁置換術例における経胸壁心エコー法(TTE)

の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

臨床症状や身体所見から人工弁機能不全や感染が疑われる例において,TTE による人工弁機能評価を行う. I B術後5 年を経過した外科的生体弁置換術例において,TTE による年1 回の人工弁機能評価を行う. I B TAVI 後6ヵ月以内にTTE による人工弁機能評価を行う. I B TAVI 後症例において,TTE により年1回の定期的人工弁機能評価を行う. I B手術後早期にベースラインとして,TTEにより人工弁機能および心機能評価を行う. I C法も併せて施行し,人工弁を多角的に観察することが重要

である.一方で,経食道心エコー法は合併症のリスクを伴う半侵襲的検査でもある.そのため,人工弁機能不全を疑う臨床症状や経胸壁心エコー図で所見のない例における術後観察目的での経食道心エコー法の施行は推奨されない.

4 判読

人工弁縫合輪(sewing cuff)の外側に観察される人工弁周囲逆流(para-valvular leak)は,その重症度や人工弁の種類にかかわらず異常所見である.軽度であれば経過観察であるが,重度の逆流,逆流が進行したり溶血の原因となる場合は再手術を検討する.人工弁縫合輪の内側に観察される逆流が経弁逆流(trans-valvular leak)であり,弁周囲逆流との鑑別が重要である.機械弁では構造上の問題として弁葉のヒンジ部分からの軽度の経弁逆流がもともと存在する.生体弁は経年的に構造的弁劣化の進行によって経弁逆流が増加する.経弁逆流が異常か否かについては,人工弁の種類や経時的変化も考慮して判断する.人工弁機能不全 逆流病変の重症度指標を表40に示す122).人工弁狭窄については,連続波ドプラを用いた通過血流速度またはそれに基づく圧較差で評価する.人工弁機能不全 狭窄病変の重症度指標を表41に示す122).人工弁機能異常の原因としては,血栓,パンヌス,経年的な構造的弁劣化,感染がある.弁葉の可動性や弁周囲逆流の有無に加えて,これらを疑うような人工弁周囲の異常構造物・可動性構造物の有無について注意深く観察する.

PPMの判読を以下に示す.PPMは人工弁の機能不全そのものではなく,体格に比較して小さな有効弁口面積(EOA)しか取れない弁が移植された場合に診断する.したがって術後早期に比較的高い経弁圧較差が記録されるような場合にはPPMを疑う.中等症PPMは比較的よく遭遇するが(20~70%),重症PPMはまれ(2~10%)とされている.重症PPMは大動脈弁位で有効弁口面積係数(EOA index)<0.65 cm 2/ m 2(BMI <30 kg/m 2),<0.55 cm 2 (BMI≧30 kg/m 2),僧帽弁位でEOA index<0.90 cm 2 /m 2 (BMI <30 kg/m 2),<0.75 cm 2 /m 2(BMI ≧30 kg/m 2)の場合に診断する122).

表39 人工弁置換術例における経食道心エコー法(TEE)

の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

人工弁置換術中に術中モニタリングとしてTEE を行う. I B人工弁機能不全が疑われる症例でTEEを施行する. I B人工弁機能不全が疑われる症例での3D TEE を考慮する. IIa C術後に人工弁機能不全を疑う臨床症状やTTE に所見のない例において,ルーチン検査としてのTEE は推奨されない. III No benefi t C