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p.52 抽出テキスト

ず,左室や左房の拡大または機能不全によって生じるものを指す.特に一次性では逆流発生部位診断が重要となるが,断層法に加えてカラードプラ法を併用し,吸い込み血流の位置や逆流ジェットの向きなどを評価することで診断の補助となる.

重症度評価は必ずしも容易ではない.カラードプラ法による定性的・半定量的評価法,ドプラ法を併用した定量的評価法,弁形態や心腔の大きさなど様々な指標を総合的に判断する必要がある308).またそれぞれの指標を用いる際の注意点を理解し,症例に合わせた評価が必要である. MRの重症度は収縮時相を通じて一定ではなく,また血行動態(前負荷・後負荷)により変動することにも注意する.重症度判定と各指標の注意点について表34に示す122).指標間で重症度に乖離を認める症例や,心房細動などにより

心拍ごとに重症度が異なる症例など,正確な重症度判定が困難な場合には軽度~中等度や中等度~高度など曖昧な重症度判定をせざるを得ない.逆流の評価だけではなく左房径や左室径,推定肺動脈圧などは手術適応の判断に資する重要な所見であるため,精度の高い計測が求められる.

2.3 負荷心エコー法 (第1章 3. 負荷心エコー法を参照)

症状の確認および予後予測を目的とし,主に運動負荷心エコー法が用いられる.

表34 心エコー図検査によるMR の重症度評価

軽症中等症重症備考

心腔の大きさ

左室や左房の大きさ正常ー拡大急性MRでは,MRが重症でも左室や左房の拡大を伴わないことが多い機能性MRよりも慢性器質性MRの重症度評価に向く定性評価

カラードプラ法の下流ジェット面積小さく細いセントラルジェット,かつ/または持続時間が短いー大きなセントラルジェット(>左房面積の50%)偏位して左房壁に沿う場合,ジェット面積からは重症度を過小評価しやすいカラードプラ法の上流吸い込み血流みえない,短時間,または小さいー収縮期を通して大きい連続波ドプラ波形短時間,または薄いー収縮期を通して濃い半定量評価

縮流部幅(cm) <0.3 0.3~0.69 ≧0.7単断面で計測した本指標は機能性MRの評価には向かない肺静脈血流ーー収縮期陽性波がない,または,収縮期逆流波がある左室流入血流速波形ーーE波の増高(>1.2 m/秒)定量評価PISA法によるEROA(cm2) <0.20 0.20~0.39 ≧0.40機能性MRの評価には向かない(過小評価しやすい)

逆流量(mL) <30 30~59 ≧60左室一回拍出量が少ない機能性MR例では逆流率が大きくても逆流量は少なくなり,本指標からは重症度を過小評価しやすい逆流率(%) <30 30~49 ≧50有意なAR合併例での評価には向かないEROA:有効逆流弁口面積(日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会.2020 122)より)