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p.51 抽出テキスト

ならない.腱索断裂・感染性心内膜炎・乳頭筋断裂に伴う急性MRでは,急激な肺水腫やしばしば血圧低下を呈するため迅速な対応が必要となる.MRの成因を表32 122)に示す.MRにおいては全例で,経胸壁心エコー法により診断と重症度・原因評価を行う.また診断確定後においては,早期の外科手術等が適応にならない症例も定期的なフォローアップが必要である.MRが軽度の場合には3~5年ごと,中等度では1~2年ごと,高度の場合には6ヵ月~1年ごとに経胸壁心エコー法による評価を繰り返す.自覚症状が出現した場合,左房および左室拡大が顕著なときやLVEF低下例にはその期間を短くした経胸壁心エコー法による評価を検討する.経胸壁心エコー法で原因診断や重症度評価が難しい症例や,外科的治療方針決定に際しては経食道心エコー法を積極的に施行すべきである.重症度評価が難しい症例では,加えて3Dカラードプラ法や心臓MRIによる重症度評価も考慮すべきである270).表33 にMRに対する検査の推奨とエビデンスレベルを示す122).

2.2 判読

MRの診断は主に経胸壁心エコー法を用いてカラードプラ法により逆流ジェットを検出することで行う.逆流の診断および原因,重症度,逆流発生部位を診断する.MRの原因は一次性(器質性)と二次性(機能性)に分けられる.一次性は僧帽弁逸脱に代表される弁尖または腱索,乳頭筋の器質的異常によって生じるものを指し,変性やリウマチ性も含む.二次性は弁尖や腱索に強い器質的異常を認め

表32 MR の成因

部位原因弁尖に生じる現象Carpentier 分類左室左室の拡大や収縮能低下によるテザリング

※1可動性の低下による接合不全IIIb

乳頭筋心筋梗塞による断裂逸脱II

腱索変性による延長または断裂(FED)逸脱II

IEによる断裂逸脱II

弁尖粘液腫様変性(肥厚および拡大, Barlow’s disease)逸脱II

IE穿孔I

弁尖+腱索加齢性やリウマチ性の硬化可動性の低下による接合不全IIIa左房+弁輪左房拡大とそれに伴う弁輪拡大(おもに心房細動に伴う)

※1弁輪の拡大による前後尖の接合不全

(+後尖のみのテザリング※2) I(+IIIb ※2)

※1 は二次性(機能性)MR,その他は一次性(器質性)MR ※2 心房性機能性MRの機序として後尖のテザリング(Carpentier IIIb)も混合しているとする報告があるIE:感染性心内膜炎(日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会.2020 122)より)

表33 MR に対する検査の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

MR が疑われる症例のMR 重症度,原因,左室・左房サイズ/ 機能,肺高血圧および他の弁膜症の有無などを評価するためにTTE を行う. I B無症候性重症MR において,手術時期を決定するために定期的にTTE を行う. I B中等度および重症MR で,MR の重症度や原因に関する診断がTTE では不十分な場合にTEE を行う. I B手術またはカテーテル手術前および術中・術後の僧帽弁形態評価のために2D/3D TEE を行う. I B無症候性重症MR または有症候性中等度MR における症状の確認およびMR の重症度変化や血行動態把握のために運動負荷心エコー法を考慮する. IIa B手術またはカテーテル手術の適応を考慮していない僧帽弁逸脱症例における逸脱部位診断のための2D/3D TEE を考慮してもよい. IIb C治療や時間経過に伴う所見の変化が予想されない状況での再検査としてのTEEは推奨されない. III No benefit C TTE:経胸壁心エコー法,TEE:経食道心エコー法