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p.47 抽出テキスト

左室流出路径比がある.縮流部幅は,大動脈弁の逆流口が正円に比較的近い場合には有用と考えられるが,そうでない場合には設定断面により過大あるいは過小評価が生じるので注意を要する.定量評価法としては,近位部等流速表面(PISA)法や,パルスドプラ法を用いて大動脈弁通過血流量と僧帽弁通過血流量から逆流量・逆流率・有効逆流弁口面積を算出する.

2.3 形態評価

ARの病因評価には,大動脈弁の短軸断面や長軸断面などから,大動脈弁の器質的異常の有無を評価する.先天性二尖弁,大動脈弁逸脱症,心室中隔欠損症(VSD)に伴う大動脈弁の嵌入などの場合には大きく偏移したジェットを

認めることがあり,僧帽弁前尖方向に逆流ジェットが吹く場合には,拡張期僧帽弁前尖微細運動(fluttering)が認められる場合がある.次に弁自体に器質的な異常を認めない場合には,上行大動脈拡大・バルサルバ洞拡大・大動脈弁輪拡大の有無を観察する.弁下部分も詳細に観察し, VSDにより大動脈弁尖が欠損孔に引き込まれ嵌入している所見がないかを確認する.また,上行以外の大動脈の評価も可能な範囲で行う.特に先天性二尖弁や結合織疾患を背景とする場合,大動脈縮窄症の合併や大動脈瘤・大動脈解離の合併の有無を評価する.大動脈弁手術において,上行大動脈の同時手術の適応の有無を判断するため上行大動脈径を必ず計測する122).近年,大動脈弁形成術や自

表28 各種検査によるAR 重症度の判定

軽度中等症重症

TTE構造的評価大動脈弁葉形態正常または

軽度異常正常または

軽度異常異常/flail,または幅広い接合不良

左室サイズ正常正常または拡大拡大(急性ARは除く)

定性評価ARジェット幅(カラードプラ法)幅が狭いセント

ラルジェット中間幅が広いセントラルジェット(偏位ジェットの場合,幅が狭くて

も重症の場合あり)

ARジェットの吸い込み血流(カラードプラ法)なし,または非常に

小さい中間大きい

ジェット密度(連続波ドプラ法)薄い濃いジェットPHT(連続波ドプラ法). PHT(ミリ秒) >500 500~200 <200拡張期逆行波(下行大動脈)(パルスドプラ法)わずかな拡張早

期逆行のみ中間明らかな全拡張期逆行

半定量評価縮流部幅(cm) <0.3 0.3~0.6 >0.6

ジェット幅/左室流出路径(%)(セントラルジェットの場合のみ) <25 25~64 ≧65ジェット面積/左室流出路面積(短軸) (%)(セントラルジェットの場合のみ) <5 5~59 ≧60

定量評価逆流量(mL/beat):volumetricまたはPISA法<30 30~59 ≧60

逆流率(%):volumetric法<30 30~49 ≧50 EROA(cm2):PISA法<0.10 0.10~0.29 ≧0.30

TEE半定量評価縮流部幅(cm) <0.3 0.3~0.6 >0.6心臓MRI検査逆流率(%):位相コントラスト法<30 30~49 ≧50心臓カテーテル検査大動脈造影検査Sellers分類I II III ~IV TTE:経胸壁心エコー法,TEE:経食道心エコー法,EROA:有効逆流弁口面積(日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会.2020 122)より)