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p.43 抽出テキスト

1 大動脈弁狭窄症(AS)

1.1 概要

ASの評価において心エコー法に求められる役割は,1重症度評価,2弁や大動脈基部の形態評価,3左室機能や肥大の評価,などである.ASが疑われる症例では,これらの評価のために,経胸壁心エコー法を行う.

1.2 重症度評価

ASの重症度は連続波ドプラ法により弁通過血流速から算出される最大および平均左室-大動脈圧較差,連続の式により求められる弁口面積で評価される.左室-大動脈圧較差は簡便に求められるが,血行動態の影響を受けるという欠点がある.またドプラ法は角度依存性であり,最大圧較差が観察される断面(エコーウィンドウ)での評価が重要である.一方,弁口面積は血行動態の影響を受けないが,左室流出路径の計測誤差が計算された弁口面積に大きな影響を与えるので,計測には細心の注意が必要である.治療介入が必要な重症大動脈狭窄の基準については,弁口面積1 cm 2未満,弁口面積を体表面積で除した弁口面積係

数で0.6 cm 2/m 2未満,ドプラ法で記録される大動脈弁最大血流速度4.0 m/秒以上,平均圧較差40 mmHg以上とされている(表24)

113, 122, 269, 270).

重症の中でも最大血流速度5.0 m/秒以上,平均圧較差60 mmHg以上の症例では,無症候であっても予後不良であることが報告されている.大動脈弁置換術を考慮する必要があるため,超重症と定義する271, 272).SVの低下した(SVI≦35 mL/m 2)重症ASでは弁口面積が高度狭窄を満たしているにもかかわらず左室-大動脈圧較差は低値を示し,圧較差による評価は真の重症度を過小評価する147, 273-275).このような場合,次のステップとしてLVEFを評価する. LVEFが50%以下に低下した症例(古典的低流量低圧較差重症AS)では,ドブタミン負荷による圧較差評価を考慮する146-148, 273, 276).LVEFが50%以上に保たれた症例(奇異性低流量低圧較差重症AS)では,症状の確認や他のモダリティーなどによる統合的な評価が推奨される(表25) 270, 277-280).

1.3 形態評価

ASでは長軸像,短軸像にて弁の開放制限を認める.短軸像は弁尖の数,交連部の状態をみるのに適している.二尖弁では2枚の弁尖,リウマチ性の場合には交連部の癒着,加齢変性の場合には弁尖の硬化・石灰化を認める.二尖

表24 心エコー検査によるAS 重症度評価

大動脈弁硬化軽症AS中等症AS重症AS超重症AS

Vmax(m/秒) ≦2.5 2.6~2.9 3.0~3.9 ≧4.0 ≧5.0 mPG(mmHg) - <20 20~39 ≧40 ≧60

AVA(cm2) - >1.5 1.0~1.5 <1.0 <0.6 AVAI(cm2/m2) - >0.85 0.60~0.85 <0.6 - Velocity ratio - >0.50 0.25~0.50 <0.25 - Vmax:大動脈弁最大血流速度,mPG:平均圧較差,AVA:大動脈弁口面積,AVAI:AVA index,Velocity ratio:左室流出路血流速と弁通過血流速の比(日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会.2020 122)より)

第4章 大動脈弁疾患