p.38 抽出テキスト
3.6 左室拡張機能指標による予後予測 左室拡張機能の指標はさまざまな心疾患の予後と関連する.とくに心筋梗塞後や拡張型心筋症などの左室収縮機能低下例では,左室流入血流速波形E波のDcTの短縮は再入院や死亡の強力な予測因子であると報告されている237-243).また,E/e’は急性心筋梗塞244),左室収縮機能障害245, 246),心房細動247),LVEFの保たれた心不全248)などの病態における予後推定に有用とされている.LAVIは,拡張型心筋症249),急性心筋梗塞250)のみならず無症状の一般住民251-253)においても心不全発症や死亡などの予後と関連することが報告されている.さらに,米国ミネソタ州オルムステッド郡の地域住民を対象とした観察研究では,左室流入血流速波形,E/e’,肺静脈血流速波形により分類した左室拡張機能の重症度がLVEFや年齢とは独立して死亡と関連していた230 ). 左室流入血流 E/A≦0.8かつE≦50 cm/秒E/A≦0.8かつE>50 cm/秒 または0.8<E/A<2 1. E/e’(中隔側,側壁側の平均)>14 2. TRV>2.8 m/秒3. LAVI>34 mL/m2 3つの指標が得られたとき 冠動脈疾患を考慮あるいはdiastolic stress testへ進む 2つの指標しか得られないとき 2つ以上陰性 2つとも陰性1つだけ陽性2つとも陽性2つ以上陽性 E/A≧2 正常左房圧拡張障害Grade I左房圧上昇拡張障害Grade III左房圧上昇拡張障害Grade II判定不能 症状があるとき症状があるとき 図13 左室収縮機能障害症例,左室心筋疾患の存在が明らかな症例における左室充満圧の推定と拡張 機能分類(Nagueh SF, et al. 2016 193)より) Copyright (2016) by the American Society of Echocardiography, with permission from Elsevier. https://www.sciencedirect.com/ journal/journal-of-the-american-society-of-echocardiography 表18 左室拡張機能評価においてE/A およびE/e’ が適用できない病態 左室流入血流速波形の適用困難例 心房細動(持続性,発作性とも)心房細動の除細動後3ヵ月以内E波とA波の融合(頻脈,I度房室ブロック等) MS E/e’ の適用困難例 高度の一次性MR中等度以上の僧帽弁輪石灰化僧帽弁手術後心室ペーシング左脚ブロック収縮性心膜炎その他 心臓移植後左心不全以外の原因による肺高血圧症アスリート