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p.32 抽出テキスト

2.2 心電図異常

心電図異常として心房負荷,右室負荷,左室負荷, ST-T異常などを認める場合には,心エコー法が適応となる.心房拡大,心室壁の肥厚,左室心筋重量の増大,左室局所壁運動異常,弁膜症,肺高血圧症を念頭において心エコー法によるスクリーニングを行う.不整脈については,心房細動,心室頻拍,心室細動からの回復,多発する心室期外収縮,運動により増加する心室期外収縮において,心エコー法による基礎心疾患のスクリーニングが推奨される.一方,頻回ではない心房性不整脈,心室性不整脈で基礎心疾患が疑われない場合のスクリーニング検査としての心エコー法は推奨されない177).高度房室ブロックでは,基礎心疾患スクリーニングとして心エコー法が適応となる.QRS幅の増大,特に左脚ブロックでは,基礎心疾患の有無,LVEFの計測に加え,局所心筋瘢痕領域を診断し左室同期不全についてコメントすることが望ましい.

2.3 血液検査値異常

心筋逸脱酵素の上昇は,症状の有無に関わらず心エコー法の適応である.急性冠動脈疾患が疑われる状況では心筋逸脱酵素が基準域内であっても心エコー法が推奨される.心不全を疑う患者において,血漿BNP濃度上昇を認める場合には心エコー法の適応である(日本循環器学会 急性・慢性心不全診療ガイドライン[2017年改訂版]より) 181). LVEF≦50%の心不全患者の治療において,BNP所見に加え心エコーガイドにて治療した群では,死亡および心不全再入院が抑制され182),利尿薬使用に伴う腎機能の悪化が少なかったと報告されている183).心エコー法とBNPを利用した治療目標として,僧帽弁血流速波形E波の減速時間(DcT)>150 ミリ秒, E波速度とe’(中隔側と側壁側の平均値)との比E/e’<13,肺エコーによるBライン数< 15,BNP≦125 pg/dLあるいは30%以上の低下が用いられ,左室充満圧評価を心不全診療の指針とすることが推奨される183).癌化学療法による心筋障害のモニタリングにおいて,トロポニン測定に加えて心エコー法を行うことは妥当である184, 185).表15 検査データ異常に関する経胸壁心エコー法(TTE)

の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

胸部X線写真の異常症状の有無に関わらず,心臓・大血管の構造異常を疑う場合にTTE を行う. I C心膜液貯留,心タンポナーデを疑う場合にTTE を行う. I C心臓近傍に存在する腫瘍を疑う場合にTTE を行う. I C心電図の異常心房負荷,右室負荷,左室負荷,ST-T異常から基礎心疾患の存在を疑う場合のスクリーニングとしてTTE を行う. I C心房細動,心室頻拍,心室細動からの回復,多発する心室期外収縮,運動により増加する心室期外収縮の基礎心疾患のスクリーニングとしてTTE を行う. I C高度房室ブロックの基礎心疾患のスクリーニングとしてTTE を行う. I C QRS 幅の増大,特に左脚ブロックにおける基礎心疾患の有無,LVEF の計測,局所心筋瘢痕領域の診断,左室同期不全評価のためにTTE を行う. I C頻回に心房性不整脈,心室性不整脈を認める場合に,基礎心疾患のスクリーニング検査としてのTTE を考慮してもよい. IIb C血液検査の異常症状の有無に関わらず,心筋逸脱酵素の上昇を認める場合にTTE を行う. I C心不全を疑う患者において,血漿BNP濃度上昇を認める場合にTTE を行う. I C心不全症例の治療法の調整において,血漿BNP 濃度と心エコー所見による左室充満圧の推定を試みる場合にTTE を行う. I B癌化学療法中の患者において,トロポニン値上昇と組み合わせたTTE による心筋障害モニタリングを行う. I B