p.27 抽出テキスト
冠血流速比は2倍以上となる154, 155). 4.1.2 拡張期・収縮期血流速比 冠血流速波形は拡張期優位であるが,高度狭窄の遠位部では拡張期優位性が低下する(図8B).拡張期/収縮期血流速比の低下(<1.5)がみられれば,その近位部の高度狭窄が示唆される156-158). 4.1.3 冠血流速低下と逆行性血流 急性心筋梗塞例では,冠血流速の低下や血流描出不能等から,冠動脈造影でのTIMI分類を予測できる159).慢性完全閉塞例では,遠位部では逆行血流となるため,遠位部の逆行血流シグナルの検出から,完全閉塞診断ができる(図8C) 160, 161). 4.1.4 拡張期減速時間 冠血流速波形の拡張期減速は緩徐である.急性心筋梗塞での再灌流後の冠微小循環障害例では,拡張期の冠血流速減速は急峻となる.拡張期減速時間の短縮から,冠微小循環障害による急性心筋梗塞後の慢性期壁運動不良(心筋バイアビリティ低下)の予測ができる(図9) 162-165). 4.1.5 冠血流速予備能(CFVR) 薬物負荷(ATPあるいはアデノシン0.14~0.15 mg/kg/分,両薬剤同一投与量)にて冠血管拡張による冠血流増加を引き起こして,その際の平均冠血流速を求め,安静時の平均冠血流速からの増加率(CFVR)を算出する(図10).CFVRは,冠動脈狭窄や心筋微小循環障害で低下 A B安静時薬物負荷時安静時薬物負荷時 図10 経胸壁冠動脈ドプラ法によるCFVR の計測冠動脈に有意狭窄のない例(A)に比べ,有意狭窄のある例(B)では,薬物負荷時の冠血流速の増加(CFVR)が乏しい. 図9経胸壁冠動脈ドプラ法での急性心筋梗塞における再灌流後の冠血流 速波形拡張期減速時間の短縮がみられない例(A)では慢性期に壁運動改善がみられるが,短縮している例(B)では慢性期の壁運動改善が不良である. A B