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p.15 抽出テキスト

1.2.7 大動脈

大動脈弁輪は楕円形であることが多く,3D心エコー法による弁輪の前後径,横径,弁輪面積の計測は優れている62, 63).ASに対するインターベンション前の3D心エコー法による弁・弁輪評価は,正確な弁輪サイズや大動脈弁口面積の把握を可能とするため,3D心エコー法の適応となる30).表5に3D心エコー法の推奨とエビデンスレベルを示す.

2.1 概要

経食道心エコー法は,主に経胸壁心エコー法で十分に観察できない場合に行われる.胸壁の影響を受けないため,

2 経食道心エコードプラ法高周波の超音波を使用して,高分解能の画像を描出できる.

弁膜症や先天性心疾患などの器質的心疾患,感染性心内膜炎,左房内血栓,急性大動脈疾患の診断に特に有用である.また,経胸壁心エコー法を施行できない心大血管手術中に心機能を監視する目的でも多用される.現在,多断面経食道プローブ,または3D画像を収集できるマトリックスプローブが使用されている.プローブを食道に挿入するため,患者に不快感や疼痛を少なからず与えることになる.十分な経験と知識をもった医師によって,あるいはそのような医師の指導のもとで施行されるべきである.

合併症として,気管支攣縮,喉頭攣縮,肺水腫,嘔吐,頻脈,房室ブロック,低酸素血症,血圧変動,狭心症発作,喉頭部出血,食道の損傷や穿孔などが報告されている.特に咽喉頭や食道の損傷では入院や外科治療を要する場合がある.このため,患者に検査方法と合併症について説明し,文書による同意を得てから施行する.患者が不快感や疼痛に耐え,自制できると思われる際には局所麻酔で施行し,それが困難と思われる場合には静脈麻酔・鎮静下に施行する.右左シャントを検出するために行われるバルサルバ手技は覚醒下でなければ十分な負荷がかけられない.麻酔やプローブ挿入に伴う危険性を避けられないため,診療録には検査実施者と日時,麻酔方法と使用した薬剤,バイタルサインの推移,合併症や副作用の有無などを記録として残すべきである64).また,ウイルス肝炎などの感染予防に留意する必要があり,検査前に血液検査で確認する施設が多い.検査中には標準予防策(Standard precautions)を採用し,マスクや医療用手袋,エプロンなどを装着して,患者の唾液や痰などによる飛沫感染を予防する.経食道心エコー法は検者へ飛沫感染をきたしやすい検査の一つである.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって,最近ではゴーグルやフェイスシールドなどを併用し,検者の眼を含めた顔面への病原体の付着を防ぐことが推奨されている65).

2.2 検査手技

2.2.1 検査の準備

患者を左側臥位に寝かせる.左側臥位を取れない場合には仰臥位や座位でも検査は可能である.口腔にキシロカインビスカスなどの局所麻酔薬を含ませ,咽頭後壁や舌基部を表面麻酔する.適時,局所麻酔薬のスプレーを追加する.プローブ挿入に伴う苦痛に耐えることができない,または血圧や心拍数の上昇を避けたい患者に対しては,検査が長時間に及ぶ場合には,ミダゾラムやプロポフォールな

表5 経胸壁3D 心エコー法の推奨とエビデンスレベル(経胸壁3D 心エコー法の施行が容易な施設に限る)

推奨クラスエビデンス

レベル

1 左室・左房・右室の評価

左室容積とLVEF の評価のため,3D 心エコー法を行う. I C左室心筋重量の評価のため,3D 心エコー法を考慮する. IIa C負荷3D 心エコー法での冠動脈疾患診断を考慮する. IIa C左房容積の評価のため,3D 心エコー法を考慮する. IIa C右室容積と駆出率の評価のため,3D 心エコー法を考慮する. IIa C左室局所壁運動の評価のため,3D 心エコー法を考慮してもよい. IIb C

2 弁の評価

MR の成因・病変部位の評価のため,3D心エコー法を考慮する. IIa C MS の重症度(弁口面積)の評価のため, 3D 心エコー法を考慮する. IIa C AS の重症度(弁口面積)の評価のため, 3D 心エコー法を考慮する. IIa C