p.101 抽出テキスト
70%が心タンポナーデによると報告されている.解離した大動脈の心膜腔内破裂もしくは切迫破裂に伴う血性滲出液が原因である.心タンポナーデは,心膜液貯留が少量でも起こることがあり,また血腫であることも多い(図26).また,患者の状態が時間経過とともに劇的に変化するのも特徴で,バイタルサインに変動があれば心エコー法で心膜液貯留の状態を再検すべきである.救急外来で手術を待っている間に,心膜腔内に破裂して心停止に至ることもある.心膜腔ドレナージは急激な血圧の上昇を伴い,再破裂のリスクを高めるので従来は推奨されていなかったが,血圧を 観察しながらドレナージ量を調整することで,再破裂のリスクを軽減できることが報告されている643). ii. AR 発症頻度はStanford A型急性大動脈解離の60~70%であるが,弁への手術操作が必要な症例は約半数と報告されている644).外科的治療の必要性を判断するためにも逆流のメカニズムを評価することが重要である.発症の機序としては,1バルサルバ洞上行大動脈移行部(sino-tubular 図23 Stanford A 型急性大動脈解離症例における経胸壁心エコー画像左:傍胸骨長軸像.上行大動脈の大動脈弁直上に可動するフラップ(白色矢印)を認める.右:傍胸骨短軸像.上行大動脈に可動するフラップ(白色矢印)を認める. 図24 Stanford B 型急性大動脈解離症例の経胸壁心エコー画像左:胸骨上窩アプローチにより,遠位弓部から下行大動脈にフラップ(白色矢印)を認める.右:前胸部アプローチにより,遠位弓部から下行大動脈にかけてフラップ(黄色矢印)を認める.本例は右大動脈弓であったため右前胸部(左上シェーマ参照)からのアプローチで観察できたが,弓部が通常の症例では胸骨上窩アプローチで描出する.