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p.100 抽出テキスト

の急性大動脈解離の診断の感度は45.2%,特異度は97.4%であり,間接所見を含めると感度は89%,特異度は74.5%と報告されている.FoCUS陰性でADD-RSが1以下の場合,陰性適中率は93.8%であり,Dダイマーを用いると陰性適中率100%と報告されている.

一般の生理検査室における経胸壁心エコー法による大動脈解離の存在診断のポイントは,真腔と偽腔を分ける可動性フラップを見つけることである.注意しないといけないのは,鏡面像や多重反射によるアーチファクトがしばしばフラップのように観察されることである.真のフラップは,複数のエコーウィンドウから観察できること,周囲の構造物とは異なった動きをすることで鑑別が可能である.また,カラードプラ法により真腔と偽腔の血流を観察することも鑑別に有用である.A型解離の場合,まず大動脈弁直上の上行大動脈を観察することにより解離の存在診断が可能である(図23).下行大動脈に解離が存在する場合,胸骨上

窩からのアプローチにより描出できることがあり有用である(図24).また,心エコー法用のプローブを用いて腹部大動脈を描出することも有用である.腹部大動脈は比較的容易に描出可能であり,腹部にフラップが存在し腹部大動脈解離と診断できれば,胸部大動脈にも解離が存在する可能性が高く,造影CTでの確認が必要になる(図25). b. 合併症の診断

急性大動脈解離の発症後の死亡率は1~2%/時間という報告642)があり,その死因の多くが合併症による.前述した合併症のなかで,心タンポナーデ,AR,心筋虚血の診断には経胸壁心エコー法が不可欠である.A型解離の場合,原則緊急手術(主として上行大動脈人工血管置換術)が必要になることが多いが,合併症がある場合には手術をさらに急ぐ必要がある.特に心タンポナーデや心筋虚血が認められた場合にはショックに陥り,そのまま心停止に至る可能性が高いため,迅速に手術による治療介入をしないかぎり救命できない.また,ARを合併した症例では弁置換・弁形成などの術式選択に経胸壁心エコー法で詳細に大動脈弁を観察する必要がある. i. 心タンポナーデ

心タンポナーデは急性期における大動脈解離の死因としては最も頻度が高く,急性動脈解離の剖検例では死因の

表73 大動脈解離のFoCUS

直接所見大動脈内のフラップ,円形または三日月状の5 mmを超える壁肥厚,カルデラ様の大動脈壁潰瘍性病変

間接所見4 cm以上の胸部大動脈径の拡大,心膜液貯留または心タンポナーデ,カラードプラ法での大動脈弁逆流ADD-RS

FoCUS

Dダイマー

造影CTまたはMRI,TEE

急性大動脈解離は否定ADD-RS≦1 およびFoCUS:直接所見 なし間接所見 あり

ADD-RS≦1 およびFoCUS陰性

状態安定他疾患疑いADD-RS>1 またはFoCUS:直接所見 あり

急性大動脈解離疑い

はい

陽性陰性いいえ

迅速なベッドサイド評価

緊急

図22 経胸壁心エコー法とD ダイマーおよび急性大動脈解離リスクスコア(ADD-RS)による救急外来での診断アルゴリズムTEE:経食道心エコー法(Nazerian P, et al. 2019

641)より) Translated and reprinted by permission of Oxford University Press on behalf of the European Society of Cardiology. OUP and the ESC are not responsible or in any way liable for the accuracy of the translation. The Licensee is solely responsible for the translation in this publication/reprint.