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p.10 抽出テキスト

「循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン」は,1993 ~1994年に初版が作成され,2010年に最初の改訂版1)が作成された.今回,「2021年改訂版 循環器超音波検査の適応と判読ガイドライン」を発表するにあたり,前版と比べてその相違点を考えてみたい.心エコー法に関する技術は周知のごとく日進月歩であり,この10年間に断層像の画質が著しく改善し,自動計測を含む心機能解析等のソフトウェアの進歩は目を見張るばかりで,肺疾患を合併するなどの一部の症例を除き,超音波プローブを患者の胸に当てれば比較的に初心者にも弁膜症・心筋症・先天性心疾患等の診断や心臓の機能計測ができるようになった.経胸壁心エコー法をして聴診器代わりとも呼ばれるようになり,胸部単純X線写真や心電図と同じく循環器疾患の初期診断に必須のツールとして認識されるようになった.また近年,心房中隔欠損症の経カテーテル閉鎖術,経カテーテル大動脈弁置換術,経皮的僧帽弁クリップ術,経皮的左心耳閉鎖術などの革新的な治療手技が循環器臨床に導入されたが,経食道・心腔内を中心とした心エコー法のサポートなしにはその役割を発揮できない.加えて三次元(3D)心エコー法(経食道・経胸壁)の進歩は,弁膜症・先天性心疾患等の診断・治療に新たな光を当てている.このように,ここ10年間で心エコー法が,外来診療から高度な侵襲的治療に至るまでに幅広くかつ濃密にかかわる循環器領域の画像診断ツールとしての重要性を増したのは明らかであろう.心エコー法は,誰でもが利用可能な身近なツールであり,かつその能力は高い.心エコー法を循環器診療に十分に活かすには,得られた結果を臨床へ反映するための正しい知識の習得やその病態生理学的理解とコンセンサスに基づいた「翻訳」が必要である.この「翻訳」の仕方を心エコー法の診療に携わるすべての者が共有するという視点に立って2021年改訂版の作成を試みた.2010年版にない「循環器診療で用いられる超音波検査法の進歩」の項目を立てて,structural heart disease(SHD)診療に必須な手法としての経胸壁3D心エコードプラ法,経食道心エコードプラ法の役割をまず第1章で取り上げ,第2章で循環器病初期診療を意識し,症状・症候の視点に立った心エコースクリーニング検査の適応を推奨クラス,エビデンスレベルとともに記載した.加えて,近年の心不全患者の著しい増加

に対し,心エコー法を用いた心機能評価の役割がますます重要になっている事実を踏まえ,第3章で心機能に関する記載を前版に比べ強化した.その他,最近のトピックスである二次性心筋症・たこつぼ症候群,心毒性を有する薬物投与時の心機能評価,成人先天性心疾患等も取り上げた.この2021年改訂版ガイドラインが,日々の診療における心エコー法の役割を明確にし,かつ正しい知識と理解そしてコンセンサスに基づいた「心エコーデータの翻訳」の仕方を提供することで最前線の循環器臨床に資することを期待している.最後に,忙しいなか改訂にあたってご協力いただいた班員・協力員および詳細にご査読いただいた外部評価委員の方々に深甚なる謝意を表する.

推奨クラスとエビデンスレベルの記載は,従来のガイドラインを踏襲し,米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)や欧州心臓病学会(ESC)のガイドラインと同様のものにした(表1,2).日本医療機能評価機構が運営する医療情報サービス事業Minds(マインズ)では,「Minds診療ガイドライン作成の手引き2007」2)において推奨グレードとエビデンス分類として異なる記載を行っているが,わが国の循環器領域診療においては,従来の推奨クラス分類とエビデンスレベルが広く普及しており,海外のガイドラインとの整合性を取りやすいことを重視した.推奨クラス分類とエビデンスレベルは,これまでの国内外の公表論文に基づいて執筆者が判断し,最終的には班員および外部評価委員の合議により決定した.

なお,心房細動カテーテルアブレーション治療の術前検査として,左心耳内血栓の検出を目的とする経食道心エコー法と心臓造影CTの役割が日常臨床において変化しつつある.そこで,心臓造影CT施行時の経食道心エコー法の役割を最近の文献報告から検証し,心房細動カテーテルアブレーション治療における経食道心エコー法の適

1 推奨クラスとエビデンスレベル

改訂にあたって