GL検索 v0.1.0
画像は 8 ページを描画したものです
page 8

p.8 抽出テキスト

循環器領域では冠動脈インターベンションを受けた患者に対し冠動脈CT検査を定期的に行う施設も少なくなく,クリニックレベルでも多数の検査が行われているという,国際的には稀有な状況となっている.また,弁膜症に対する経カテーテル大動脈弁置換術などのカテーテル治療や,心房細動に対するカテーテルアブレーションなどにおいて,術前準備としてMDCT(多列検出器CT)による検査が必要とされるようになり,CTのニーズはますます増加している.このような循環器疾患のインターベンション治療に伴う被ばくは,本ガイドラインの前回改訂版でも大きく取り上げられた.

近年では患者が受ける医療被ばくの他に,医療従事者が受ける職業被ばくも問題となっている.とくに下肢末梢動脈の治療においては線源と術者間の距離が近く,また慢性完全閉塞病変に対するテクニックの確立などに伴って複雑病変に対するインターベンション手技も増加してきている.このような最近の情勢変化により,水晶体を中心とした医療従事者側の被ばくも,社会的に大きな関心を集めている.

今日の医療現場における放射線被ばくで現在の最も大きなテーマは被ばくに関する「行為の正当化」と「防護の最適化」である.今回の改訂では,妊婦の被ばくやCT,核医学などの検査に伴う被ばくに関する記述を充実させ,特に医療者の水晶体被ばくなどについても,時代の要請に応えられるように改訂を行った.

近年の診療ガイドラインでは,クリニカルクエスチョンに関するエビデンスを評価して推奨事項を記載しているものが多いが,その際にMinds方式の推奨グレード・エビデンス分類の表記を行っているものもある.しかしながら,放射線被ばくに関してはそのようなエビデンスが未だ少ないため,Minds方式での記載が困難である項目が多い.本ガイドラインは検索して使用する性格のものでもあることから,実用上の利便性を重視して,旧来の記載法で行うこととした(表1,2).今回の改訂の要点は以下のとおりである

1 放射線被ばくに関する「行為の正当化」と「防護の最適

化」を強調し,各章で詳述した. 2. 推奨表をメッセージの発出として強調した. 3. 線量管理の重要性と具体的項目を明示した.

4 医療従事者被ばくの大きな問題とされ,等価線量限度

が引き下げられた,水晶体の放射線防護を強調した.

5 増加している女性医療従事者の業務上の被ばくをク

ローズアップした.今回の改訂では,新たなエビデンスの蓄積によって推奨クラス,本文記載内容を一部大幅に変更した.また,推奨クラスのクラスIIIに関しては表1のごとく,臨床的有用性を鑑み,「有用性・有効性なし(No benefit)」と「有害(Harm)」とに分類して記載した.

表1推奨クラス分類

クラスI手技・治療が有効・有用であるというエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

クラスIIaエビデンス・見解から,有効・有用である可能性が高い.

クラスIIbエビデンス・見解から,有効性・有用性がそれほど確立されていない.

クラスIII No benefit手技・治療が有効・有用でないとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.クラスIII

Harm手技・治療が,有害であるとのエビデンスがある,あるいは見解が広く一致している.

表2エビデンスレベル

レベルA複数のランダム化介入臨床試験またはメタ解析で実証されたもの.レベルB単一のランダム化介入臨床試験またはランダム化介入でない大規模な臨床試験で実証されたもの.レベルC専門家および/ または小規模臨床試験(後ろ向き試験および登録を含む)で意見が一致したもの.