p.58 抽出テキスト
る.留置部位の検討のために冠静脈洞の造影(特にシネモード)を行うので,通常のデバイス植込みよりも被ばく線量が多い239).また,CRTでは左前斜位が多く用いられるため放射線量が多いこと,さらには通常左側植込みであるため,術者の頭部が散乱線に多くさらされることに注意が必要である. 右前斜位より左前斜位のほうがX線管焦点と患者の皮膚面が近くなるので,同じ時間X線を照射しても,左前斜位では右前斜位に比べて患者への入射線量が約2倍になる.また,X線入射方向が右前斜位の場合には,患者の左背部から肺を通して心臓を観察することになるが,左前斜位では患者の右背部から脊柱や縦隔を通して心臓を観察することになる.肺は空気が多く含まれており容易にX線が透過するが,脊柱や縦隔は密度が高いため透過しにくく,多くの線量を必要とする.このため,左前斜位で長時間の透視・撮影を行った患者の右傍脊椎領域において被ばく線量が高くなり,皮膚障害部位が多くなる239). デバイス植込み,特にCRTではCアームよりもカテーテル室の透視が用いられることが多い.テーブル下の散乱線防止カーテン(シールドカーテン)は通常患者の右側に設置されているため,左側の植込みの際に移動させることを忘れてはならない.また,X線防護シールド(RADPAD ®)はデバイス植込みでも80%以上の被ばく線量低減が可能であったと報告されている238). 7.4 手術室でのCアーム使用 ポータブル型Cアーム装置は出力が小さいため,透視・撮影の画質では据置型装置に及ばない.据置型と同様にパルスレートを落とすことにより被ばく線量を低減できるが,連続透視に比較してX線管の熱上昇が高いため,常時の使用は難しい.ズームアップにより皮膚入射線量率が上昇するため,過度の視野拡大を避けることも必要である.また,ポータブル装置では患者と術者の上半身への被ばく線量を抑えるために,ベッドの下(アンダーチューブ)にての使用が望ましい. 7.5 Q&A 【Q 20】 デバイス植込みでの被ばくの特徴 デバイス(ペースメーカ,ICD,CRT-P/CRT-Dなど)植込みにおける被ばくにはどのような特徴がありますか. A カテーテルアブレーションでは3次元マッピングを使用することが増え,それに伴い術中の被ばく線量は減少している.一方,デバイス植込みは3次元マッピングを用いることもほとんどなく,また手術室でCアームなどを用いることもあるため,術者も不要な透視や撮影を行わないように注意が必要である.中でも心臓再同期療法のデバイス(CRT-P/CRT-D)では,左前斜位の透視や静脈造影による撮影が多いので,可能なかぎり低いフレームレート,パルスレートを用いる.