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p.56 抽出テキスト

透視を控えるといった注意が必要である.術中,患者と近距離で作業をする看護師に対しても,声がけをしながら不要な被ばくを避ける.また術者の手元の被ばくは軽視できず,散乱線防護のためにX線防護シールド(RADPAD ®)の使用も考慮すべきであろう.ビスマスとアンチモンの混合素材であり,アブレーション,デバイス植込みなどにおける放射線減衰率は60%以上と報告され,術者のみならず在室している者への散乱線も減衰するので,有用である235).

患者側の被ばくに関しては,特に心房細動アブレーションで術前に撮影されるMDCT(多列検出器CT)による被ばくも軽視できない.術前,術後にルーチンで撮影することは避けるべきであろう.

6.6.2 透視装置の設定

透視ではパルスレートを低くすること,撮影ではフレームレートを画質に問題がない範囲で下げることが必要である.最近ではフレームレートを3 f/sから1 f/sに下げることが多い.透視時間を最短化し,X線管からの距離を長くするためにカテーテルテーブルを高くし,FPDやイメージインテンシファイア(I.I.)を患者に近づける.3次元マッピングシステムを用いてマップ上でのカテーテル操作に慣れるようにする.不要な撮影は避けることが重要であるが,危険回避のためには透視の使用を躊躇しないことも大切である.

不要な視野拡大は患者が受ける線量を増加させるので,皮膚障害防止のためにも視野は必要最小限に留める.照射野を絞っても患者が受ける単位面積あたりの線量は変わらないが,不要な部位への照射を避けるうえで重要である.照射野を絞ることにより,角度を変えて透視・撮影した際に重複する領域を小さくできるので,皮膚障害回避のうえでも有用である.照射野を絞ると術者の被ばく線量は減少する.放射線技師が積極的に絞りを調整することも重要である.

シールドに関しては,ガラス防護板とテーブル下のシールドカーテンとの間に隙間が生じないように,必要に応じてフラップを用いるなどしてオーバーラップさせることが重要である(図26).

6.6.3 防護キャビンの使用

心房細動治療など長時間被ばくすることがあるアブレーション手技が一般的となるにつれ,術者の被ばく線量低減を目的とした放射線防護キャビンが開発された(図27).厚さ2 mmの鉛ガラスで作られた3つの面をもつ箱型をしており,術者はその箱の内部から腕を通し,手技を行うものである.使用され始めた初期の頃から,アブレーション236),

デバイス植込み237)のいずれにおいても,防護服と同等かそれ以上の放射線防護効果が報告され,特に全身がカバーされる点で優れている.

6.7 患者への説明

放射線による皮膚障害に関する説明では,患者の不安のみを無駄に増やさないように心がける.放射線皮膚障害を起こす放射線量にはしきい値があること,経過によってしきい値を超える線量に達することがあるが,その場合は治療の継続の有無に関する了解を取るようにしていること,また装置を管理し,常に適切な線量で検査を実施していること,放射線皮膚障害が生じた場合の対応方法が策定されていること,などを説明する.統一したフォーマットを用いて一貫した説明を行うことが重要である.

図26 不整脈のカテーテル治療におけるガラス防護板と

シールドカーテンフラップで隙間をふさぐ.ガラス防護板

フラップ

シールドカーテン

図27 カテーテル治療のための放射線防護キャビン(センチュリーメディカル株式会社 提供)

正面ガラス部

腕出し入れ部

正面ボディ部

掛け部上面・側面ガラス部

側面ボディ部

キャスター