p.52 抽出テキスト
フレームレートの選択,照射野の絞りの適用,また不必要な撮影の回避と透視収集機能による代用などが重要である209). わが国を中心に行われている,体表面エコーや血管内超音波を用いてのワイヤ操作を行うことが,患者・医療従事者双方の被ばく線量低減につながる可能性はあるが,エコーガイドの有無による被ばく線量の違いを検討した良質な臨床研究は少ない.エコーガイドのみでは十分な手技成功率が得られない可能性もあり,今後の検証が期待される204). 5.1.3 その他の一般的注意 前述のように,EVTにおける患者の放射線被ばくリスクはPCIと比較すると低い可能性があるが,昨今のEVTの適応拡大に伴い,複雑病変に対するEVTの機会も増加し,被ばくリスクが上昇する可能性がある.被ばくリスク低減の観点から,低侵襲であるというEVTの利点を活かすためにも,不必要に長時間の手技は避けるべきである.複雑かつ長時間の手技が予想される場合,あるいは手技時間が予想以上に長くなった場合は,治療戦略の再考や,より専門性の高い施設での治療なども視野に入れて,患者利益を最大限にすることが必要である. 医療従事者,特に術者の被ばくリスクに関しては,前述のように,撮影方法によって被ばくリスクが異なること,アプローチ部位と治療部位の組み合わせによりPCIとは異なる被ばくリスクがあることを理解する必要がある.EVTに適切な被ばくリスク低減のため,次のような取り組みが必要である. 1) 適切な透視パルスレート,画像フレームレートを選択 する(冠動脈造影/PCIと同様の設定で手技を行わない) 202, 203). 2) 治療戦略上可能であれば,穿刺部位(術者の立ち位置) と治療部位が離れるような穿刺部位を選択する202, 203). 3) 特にDSA撮影においては,撮影のための造影剤注入 にはオートインジェクターを用いて,術者・助手は可能なかぎり照射部位から離れる. EVTは昨今,急速に発展し,適応拡大されてきた分野であり,PCIなどの分野と比較すると,各撮影方法の被ばくリスクに関する基礎データの蓄積が乏しい.今後の各施設,各団体におけるデータの蓄積,評価が望まれる. 5.2 Q&A 【Q 17】 血管内治療での被ばくリスクの注意点 EVTにおける医療従事者の被ばくリスクで,PCIの場合と異なる点,注意するべき点を教えてください. A EVTはPCIと比較して透視線量は低いが,撮影方法,アプローチ部位と治療部位の関係によって術者の被ばくリスクが大きく異なることを知る必要がある.例えば,DA撮影と比較してDSA撮影は高線量であるため,術者・医療スタッフは退室しての撮影(造影剤注入にはオートインジェクターを使用する)が望ましい.また,治療戦略選択時にも,可能なかぎり術者とX線管の距離を取れるアプローチを選択する202, 203).手技中も不必要な拡大透視や,放射線照射野に術者の手が写り込むことは避けるべきである202, 203).【Q 18】 エコーガイド下での手技による被ばくリスク 体表面エコーや血管内超音波のガイド下での手技により,EVTでの被ばくリスクを低減できますか. A 大腿膝窩動脈の治療に関しては,体表面エコーガイド下で手技を行うことにより,透視時間を短縮し,被ばくリスクを低減できる可能性があるが,それを検討した良いデザインの研究はない.エコーガイドのみでの手技では良質な画像を描出できず,十分な手技成功率が得られなかったという報告もあるため204),症例に応じた選択が必要である.また,透視を併用する場合,エコー法施行者の手が照射野に映り込むことは絶対に避けなければならない. 血管内超音波併用についても,透視時間に関する質の高い研究はなく,血管内超音波を併用すると細かい部分にこだわるあまり逆に手技時間・透視時間が長くなる可能性もあるので,状況に応じた使用が望ましい. 6 電気生理学的検査とカテーテル アブレーション 表35 電気生理学的検査,カテーテルアブレーションにおける被ばく線量低減のための推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 医療従事者カテーテルアブレーション中に3 次元マッピングシステムを用いる210, 211). I Aアブレーション中のフレームレート,パルスレートは可能なかぎり低くする210, 211). I A患者皮膚の被ばく線量を3 Gy 以下にとどめる210). I B