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p.50 抽出テキスト

1)    放射線皮膚障害を起こす放射線量にはしきい値(放射

線を受けた人の1%に影響が現れる放射線量)がある. 2)    経過によっては皮膚入射線量がしきい値を超えること

もあるが,その場合は治療継続について了解を得るようにしている. 3)    装置を管理し,常に最適な線量で検査を実施している. 4)    照射条件をモニターするなどして皮膚入射線量の把握

に努めている. 5)    放射線皮膚障害が生じた場合の対応方法が策定され

ている.なお,このような説明は緊急検査時においても不可欠である180, 201).【Q 14】 しきい線量に近づいたときの判断

複雑病変でPCI手技時間が長くなり,皮膚障害のしきい線量に近づいた時,手技を継続するかどうかの決定はどのように行えばよいでしょうか. A 早期一過性紅斑のしきい線量は2 Gyである.単位時間あたりの被ばく線量には施設,撮影条件(患者の体格,撮影角度,フレームレートなど)により大きな差があるため,各施設で2 Gyに相当する透視・撮影時間および装置に表示されるAK値(Gy)の目安を定めておく必要がある.透視・撮影時間および装置に表示されるAK値の累計が目安の数値に達する可能性が高いことが判明した時点で,手技の続行・中止を決定する.待期的か緊急かを問わず,基本的には患者の利益を優先するが,その時点で患者と家族の意思を再度確認することが望ましい.

しきい線量に達する可能性が高いと判断しても手技を継続する場合は,さらにいっそう被ばく線量の軽減に努める.透視のパルスレートや撮影のフレームレートを下げる,透視・撮影角度を変えて患者の皮膚照射野を異なる位置に移動する,などの工夫も考えられる.【Q 15】 放射線安全管理者の任務

治療後に,患者の被ばく線量が皮膚障害のしきい線量を超えた可能性があることがわかった場合,どのように対処すればよいでしょうか. A 2020年4月1日から,医療法により設置が義務づけられた放射線安全管理責任者は,検査・治療の担当医に予測される線量と皮膚障害の程度を伝え,以下のとおりその後の対応を依頼する. 1)    患者とその家族から再度インフォームドコンセントを

得る. 2)    患者皮膚吸収線量報告書を作成して関係者に報告し,

経過観察の資料とする. 3)    検査直後の初期障害として一過性の紅斑を認めたら,

照射部位の観察を検査担当医が自ら行うように指示する.場合によっては病棟担当医,看護師に指示する.

4)    予測される皮膚障害の程度によっては,皮膚科医に照

射部位と被ばく線量,予測される皮膚障害の程度を伝え,協力を要請する.皮膚吸収線量報告書と併せて,検査状況報告書(検査記録)や放射線皮膚障害に関する参考文献も添えることが望ましい. 5)    皮膚障害のしきい値を超える線量が照射されたことを

記録する.なお,短期間に繰り返し施行したPCIでは,しきい値より低い線量で皮膚障害を来すことがあるため,照射部位と線量を把握して記録に残し,過剰な照射の防止に努める.

患者への対応としては,放射線皮膚障害が発生する可能性のある部位を教え,施設における放射線皮膚障害に対する対応方針を説明し,以下のように伝える. 1)    被ばく線量がしきい線量に達した可能性があるが,診

断・治療は必要不可欠なものであった. 2)    経過観察のため定期的な受診が必要である. 3)    放射線を照射された局所を掻かないようにし,入浴時

は刺激の強い入浴剤や石鹸の使用を避け,医師から処方された薬以外のものを塗布しないこと. 4)    放射線による影響は遅れて出現することもあるため,

皮膚の症状に変化があれば受診すること.これらの内容を含めて施設におけるマニュアルを作成し,準備しておくことが望まれる180, 201).【Q 16】 寛解した急性皮膚炎への治療の必要性

放射線障害が軽微な急性皮膚炎ですみやかに寛解した場合,その後の外来診療で何らかの投薬や皮膚科受診が必要でしょうか. A 自然に消失した早期の軽微な皮膚障害は,早期一過性紅斑(しきい線量2 Gy)または,主紅斑(しきい線量6 Gy)と考えられる.主紅斑の場合には治癒後に色素沈着(または色素脱失)が残ることが多い.色素沈着が残らずに治癒した場合には,後に晩発性の皮膚障害を発症する可能性はきわめて小さいので,経過観察も特に必要ない.

一方,皮疹は治癒したものの,その部位に何らかの色調異常が残った場合には,当初は軽微な変化でも,後になって晩発性の皮膚障害を発症する可能性を否定できないため,皮膚科医師による定期的な経過観察が必要である.受診の頻度と期間は3ヵ月に1回,1年間程度が望ましい.ただし,色素異常が残った場合でも,それ以上の変化がなければ観察のみで治療は特に必要はない180).