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しながら,放射線外部被ばく線量低減においては,「時間(照射時間を短くする)」,「遮蔽(放射線を可能なかぎり遮蔽する)」,「距離(線源から十分に離れる)」の3原則を常に意識し,徹底することが求められる164). 4.1.2 医療従事者 医療従事者の被ばくが患者のそれと異なるのは,患者は放射線医療機器による検査・治療により直接的な健康上の利益を受けることが期待できるのに対し,医療従事者の場合は放射線業務中の被ばくが健康に対して不利益になる可能性しかないことである.しかしながら,すべての医療従事者には医療行為を行うという社会的責務がある以上は,最大限の被ばく線量低減の工夫を凝らしながらその責務を果たす必要がある.以下に防護の具体的方法を提示する. 1 被ばく線量を把握する. 放射線防護衣の内側(男性は胸部,女性は腹部)に1個,放射線防護衣の外側に不均等被ばく用として,体幹部で放射線を最も多く受けるおそれのある部位(IVRでは頭頚部左側)に1個,合計2個の個人線量計を装着する19). 2 コート式の放射線防護衣を着用する. エプロン式(体幹の後面が空いているもの)の防護衣ではコート式のものに比べ,患者に背中を向けて作業をする際に背面の被ばく量が増加する.背側を0.25 mm鉛当量の防護衣でカバーした場合,背側の組織吸収線量を半分程度に低減させることができることから,コート式を用いるべきである.また,放射線防護衣の鉛当量規格は0.25 mmと0.35 mmの2種あるが,数値が上がるほど放射線遮蔽能力が高くなる一方で,重くなるため術者の身体的な負担が大きくなる.0.25 mmと0.35 mmとで放射線遮蔽能力に大きな差はないので,術者の負担が少ない0.25 mmの軽いものを選択することにより,腰痛軽減などの対策が可能であ る165). 3 甲状腺の被ばく線量低減のために必ずネックガードを 着用する. 0.25 mm鉛当量のシート製ネックガードは,防護衣と同様 に約90%の遮蔽効果がある.甲状腺保護のためネックガードをエプロン式放射線防護衣と併用することで,放射線防護衣のみよりも実効線量を50%低減することが可能となる169).甲状腺被ばくによる発癌リスクは被ばく時の年齢に大きく依存し,男性では30歳以上,女性では40歳以上ではリスクはきわめて小さいとされている170).したがって,全員が行うべきということではないが,ネックガード未使用で1ヵ月間の襟付近の個人モニター測定値が4 mSv以上の術者は,ネックガードによる甲状腺防護が必要である171). 4 水晶体の被ばく線量低減のため防護眼鏡を使用する. 0.07 mm鉛当量の比較的薄い防護眼鏡でも,約60%の 防護効果がある.白内障の原因となる水晶体への被ばく線量低減に適切な防護眼鏡としては,顔面に密着し,側面もしっかり遮蔽されるものを使用すべきである167, 168). 5 透視・撮影時に可能なかぎり患者から離れる. 6 可動性の含鉛アクリル板(防護板),鉛カーテンを積極 的に使用する.術者被ばくのほとんどが患者からの散乱線によるものであり,防護板(アクリル板)をできるかぎり防護対象(術者)に近づけて患者と術者の間に設置することで,散乱線による術者の被ばくを減らすことが可能である.特にcranial viewやcaudal viewでは,防護板の位置を調整しないと散乱線による術者の被ばくが多くなるので,注意が必要である(図22).また放射線防護衣着用だけでは防護しえない下方からの散乱線による生殖腺などの被ばくを防ぐために 図22 防護板の位置による放射線量の違い 防護板の位置が不適切な例線量率 0.77 mSv/h (防護板を可能なかぎり術者と患者の両方に近づけるべき)防護板の位置が適切な例線量率0.45 mSv/h