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p.41 抽出テキスト

3.2.3 被ばく線量低減のための工夫

a. 医療従事者

PET核種は単光子核種と比較して放出されるガンマ線のエネルギーが高いため,医療従事者の被ばく線量低減には十分に注意を払う必要がある.個人被ばく線量計の使用により被ばく線量を測定する.ガイドラインではPET検査による職業被ばくに関して,1年間につき5 mSv程度を目標値とした手順書やマニュアルを作成することが望ましいとされる85).今後, 18F-flurpiridazなどのデリバリ可能な新たな18F製剤が発売されることになれば,ダイナミック撮像を行うことが予想され, 13Nや15Oを用いた検査と同様に医療従事者の被ばくが増加する恐れがある.被ばく線量低減に向けた新たな指針の検討が必要と考えられる.

被ばく線量低減のための工夫として具体的に以下のようなことが挙げられる85, 160, 162). 1)    検査室内での患者の動線と,スタッフやPET検査以

外の目的で検査室にいる人たちの動線とが,可能なかぎり重ならないようにする.これは施設の設計段階から考慮する. 2)    説明などで患者と接触する際には可能なかぎりラジオ

アイソトープ(RI)投与前に行う.投与後の接触は必要最小限にする. 3)    移動困難,または移動に介助が必要な患者の場合には,

検査室スタッフ以外の人に介助をあらかじめ依頼しておくことにより,スタッフへの被ばくの集中を防ぐ. 4)    防護用衝立はPET専用のものを使用する.特に医師・

看護師ではPET用薬剤投与時に被ばくが多くなる傾向にある.その対策として,PET用薬剤自動投与装置の導入,抜針時間の短縮や防護板の利用,針廃棄箱の設置などが有効とされている. 5)    RI投与前の点滴ルートの確保を確実に行う.投与中に

注射液漏れが生じると,点滴ルートの再確保などのためにスタッフが受ける被ばく線量が増加する.ラインの接続部のゆるみなどによる液漏れにも注意する. 6)    撮像室への呼び出しなどはPHSやインターフォンなど

を利用する. 7)    診療放射線技師は撮像時のポジショニングなどで被ば

く線量が多くなる傾向にあるため,ポジショニングなどの時間を可能なかぎり短縮する,検査寝台操作は操作室で行うなどの対策をとることが望ましい.撮像室の監視は監視窓では限界があるため,監視装置を設置するのがよい. 8)    特定の医療スタッフに被ばくが集中しないように,業

務のローテーションを考慮する. 9)    検査が終了して所定の時間後に待機室から出てきた患

者から医療スタッフが受ける被ばく線量は少ないが,患者送迎用の車やバスの運転手などのように接する患者の数が多いスタッフについては,被ばく線量低減のための配慮が必要となる.多数の18F-FDG検査を行う施設では,案内,受付,会計,送迎などの業務従事者と患者に適切な指導,措置を行い,モニタリングなどによりその有効性を確認する. 10)  通常市販の自動投与装置を用いて投与されるデリバリ

製剤とは異なり,サイクロトロン製造核種を用いた検査では施設ごとに固有の投与方式やプロトコルがあるため,医療スタッフの被ばく線量低減について十分な配慮が必要となる.特に自動投与装置を使用せず手動で投与を行う場合に, 15Oや13Nでは18Fと比較して半減期がきわめて短いため,投与前の準備段階において実際の投与量よりもかなり多い放射能量を取り扱う必要があり,被ばくに注意を要する.放出ガンマ線のエネルギーが高いため,遮蔽による被ばく線量の低減効果には限界があり,距離と時間(特に後者)において工夫が求められる.経験の少ないスタッフが行う場合には,コールドランによる投与動作や立ち位置などのシミュレーションを念入りに行うことで慣れておき,実際の検査でスムーズな動作ができるようにしておく.薬剤製造にかかわるスタッフの被ばくについては本ガイドラインでは割愛する. b. 患者,患者家族,介護者

18F-FDGを用いた検査において放射線業務従事者は,患者やその家族・介護者,それ以外の周囲の者,一般公衆の被ばくを軽減するため,以下の方策を考慮する85, 160, 162). 1)    患者には薬剤投与前後に積極的な飲水を促す.ただし

心不全や腎不全の患者などではこの限りではない.撮像前と管理区域から退出する前に排尿を指導する. 2) 18F-FDG投与後1半減期(2時間を目安とする)以内は,

患者は管理区域内の周囲から遮蔽された待機室で待機し,公衆を含む周囲の人への被ばくを抑える. 3) 18F-FDG投与後は,放射線に影響を受けやすい妊娠中

の女性や10歳未満の小児との接触時間を短くし,また距離を取ることを指導する.前述のごとく,デリバリ製剤の添付文書には,「授乳婦に投与した場合,24時間授乳を中止し投与後12時間は乳幼児との密接な接触を避けるよう指導すること」と書かれている. 4)    患者の周囲に長時間いる者については,必要に応じて

個人被ばく線量計を用いたモニタリングを行う. 18F-FDG以外のサイクロトロン製造核種を用いた検査での被ばく線量低減の工夫は,基本的にはデリバリ製剤のそ