GL検索 v0.1.0
画像は 35 ページを描画したものです
page 35

p.35 抽出テキスト

対応することになっている.以下の内容を考慮した説明文書を施設が用意することが望ましい.

まず,CT検査の必要性や有用性に関して具体的に説明する.その際に,超音波検査やMRI検査など被ばくを伴わない代替の検査の有無と,それらの検査に対するCT検査の優位性にも触れる.CT検査で異常が見つからなかった場合には,無駄な被ばくをしたと誤解する患者もいるため,異常が見つからなかった場合のベネフィットに関しても触れておくことが望ましい.

次に,CT検査の被ばく線量に関しても説明する.しかし,被ばく線量評価に用いられる単位を患者に理解してもらうことは必ずしも容易ではない.また,自施設における同一プロトコル検査の標準的な線量を基に個々の検査における線量を検査前に概算することは可能であるが,煩雑であり,ときに不確かである.多くの場合には,これから行おうとしているCT検査が自然放射線と比較してどの程度の量であるかを大まかに説明するのが現実的かもしれない.

被ばくの影響に関しては,確定的影響と確率的影響に分けて考えるべきである.前述のように,通常の1回のCT検査で確定的影響が生じるとは考えにくい.CT検査における被ばくは通常100 mSv未満であり,この線量での放射線発癌のリスクは実証されていないが,仮にリスクがあるとしても,生活習慣など他の要因による癌のリスクと比較するとごくわずかである.これらの点を踏まえて,状況に応じた説明を行うべきである.なお,妊婦に対しては特別な配慮を行ったうえでの説明が必要である.

検査前の説明において,各施設で行っている医療被ばく低減に関する取り組みについても触れることが望ましい.

2.5 Q&A

【Q 2】 妊婦に対するCT検査

妊娠中の患者に対するCT検査では,被ばくの影響をどのように考え,どのように対応すればよいですか. A 妊娠中の患者に対するCT検査に際しては,通常より多くの配慮がなされるべきである.まず,放射線を用いない超音波検査やMRI検査などで代用できないかを検討する.代用が困難な場合には,CT検査で胎児の吸収線量が必要最小限になるように注意を払う.

胎児に対する放射線の影響は受胎後の被ばくの時期と吸収線量に依存する.器官形成期(受胎後3~8週)に100 mGy以上の被ばくが生じた場合には奇形発生率が上昇する可能性がある.一方,受胎後8~25週の期間における100 mGy以上の被ばくでは中枢神経障害が生じうる.いずれにせよ,胎児線量が100 mGy未満であれば妊娠中絶の

理由としてはならない113, 146).

妊娠のほぼ全期間を通して,100 mGy以上の被ばくでは胎芽・胎児に小児とほぼ同程度に癌誘発のリスクがあると想定されている.一方,100 mGyより少ない低線量被ばくによる発癌や遺伝的影響のリスクの有無に関しては,一致した見解が得られているわけではないが,少ない線量でも線量の増加とともに影響の発生率が上昇するという直線しきい値(linear non-threshold: LNT)モデルに基づき,防護の最適化を行う必要がある.【Q 3】 小児に対するCT検査

放射線感受性が高い小児に対するCT検査では,どのような配慮が必要ですか. A 正当化に関しては,原則として妊婦に対する検査と同様に,放射線を用いない超音波検査やMRI検査などで十分な情報が得られない場合にCT検査の施行を考慮すべきである.ただし,MRI検査のために鎮静が必要な場合には,鎮静に伴うリスクも加味する.先天性心疾患や小児期心疾患における検査の適応に関しては日本循環器学会のガイドラインが参考となる147, 148).

最適化に関しては,診断が可能な最小限の線量での検査を目指すべきであり(ALARAの原則,p. 11参照),低管電圧撮影や患者の体格に応じた細かい管電流値の設定,自動照射制御や逐次近似再構成処理などの技術を積極的に活用する147).なお,冠動脈を評価対象としない場合には,より被ばく線量の少ない心電図非同期撮影で十分な情報が得られることも少なくない.【Q 4】 逐次近似再構成処理での注意点

逐次近似再構成処理を用いることで被ばく線量低減が可能であると聞きました.同法を用いる際に注意すべき点はありますか. A 近年,各CT装置メーカーにおいて逐次近似再構成処理が臨床導入されている.患者被ばくを考慮し,CT撮影時に使用する放射線量を低下させた場合,従来の画像再構成法を用いるとノイズの増加による画質の劣化が生じる.そこで,逐次近似再構成処理を用い,その増えたノイズを低減することで,線量低下の際のノイズレベルの維持が可能である.一方で,逐次近似再構成処理が空間分解能やノイズの周波数特性に悪影響を及ぼす点に十分注意を払う必要がある149).

なお,CT値の標準偏差(ノイズレベルの評価),コントラスト/ノイズ比(低コントラスト分解能の評価),バーパターンの見え方やワイヤ法によるmodulation transfer function(MTF) (空間分解能の評価)など,画質の物理特性に関する従来の指標は,逐次近似再構成処理を用いた