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p.33 抽出テキスト

2 CT検査

表20 CT 検査における患者の被ばく線量低減のための推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

管電流値の設定の際に自動照射制御を使用することにより,患者の体格に合わせた撮影線量の最適化を行う128, 129). I B安定した低心拍数(<65/min)の患者の冠動脈CT 撮影において,前向き心電図同期ノンヘリカルスキャン法や,高いヘリカルピッチを使用した前向き心電図同期ヘリカルスキャン法の適用を考慮する130―132). IIa C画像ノイズ低減のために,画像再構成法として逐次近似再構成処理の適用を考慮する133–135). IIa B

2.1 CTの進歩,普及による被ばく線量増加

近年におけるCT検査技術の向上は目覚ましく,多列検出器の導入,X線管の回転速度向上や容量増大により,広範囲の撮影や高速撮影,薄いスライスでの評価が可能となり,CT検査の適応が拡大した.

循環器領域はCT検査技術の向上の恩恵を大きく受けている分野の一つであるが,撮影の高速化による繰り返し撮影や広範囲撮影は,1検査あたりの被ばく線量を増加させる要因となる.また,体軸方向の空間分解能を向上させるために薄いスライスを用いる場合には画像ノイズが増加するため,このノイズを低減させる目的で線量を増やせば被ばくが増加する136).さらに,検査の適応拡大に伴ってわが国におけるCT検査数は増加しており,国民1人あたりのCT検査による被ばく線量増加が懸念されている.それに伴い医療被ばくの把握と管理が求められている.

2.2 被ばく線量低減のための工夫

放射線管理と防護に関する基本原則に基づくと,放射線を用いて施行したCT検査から得られる情報の利益が被ばくによる健康影響のリスクを上回る場合にのみ,CT検査は正当化され,設備や撮像条件が最適化されているという前提のもとに行われるべきである.近年,CT装置の進歩に伴い安定して高精度の画像が得られるようになったが,一方で悪性腫瘍の診断におけるCT検査の関与が以前より

懸念されており,常に正当化と最適化に留意しなければならない.なお,循環器領域のCT検査における正当化に関しては,日本循環器学会が作成した各種疾患の診療ガイドラインが参考となる137).

2.2.1 目的と患者の体格に合わせた最適化

患者の被ばく線量を低減するためには,撮影のための線量を検査目的や患者に合わせて最適化することが有効である.検査目的に合わせた最適化については,あらかじめ施設で検査目的ごとの標準プロトコルを決定しておくことが望まれる.また,患者に合わせた最適化については,患者の体格に応じた管電流値の設定が必要となるが,撮影者の感覚や経験に委ねるものとならないように,可能なかぎり自動照射制御を用いることが推奨される128, 129).

2.2.2 自動照射制御

自動照射制御には,患者の身体のサイズを認識して管電流値を調整する,体軸方向のX線吸収差を認識して管電流値を変調する,断面方向のX線吸収差を認識して管電流値を変調する,という3つの機能があり,これらを組み合わせて管電流値が設定され,撮影線量が決定される.それぞれの装置によって有する機能は異なっているため,あらかじめ確認しておく必要がある.

近年では,体表面近くにある乳腺などの組織の被ばくを選択的に低減するために,X線が体前面に照射されるときに管電流値を下げる自動照射制御を搭載したCT装置も普及している.装置によっては選択できるヘリカルピッチに制限があったり,画像ノイズが増加したりするため,その使用には注意を要するが,特に若年者に対しては使用を考慮することが望ましい.

心臓CT検査では心電図同期撮影が行われるが,心電図同期ヘリカルスキャンではヘリカルピッチを小さく設定しなければならず,患者被ばく線量が増大する傾向にある.この問題を軽減するために,心電図同期自動照射制御を併用する方法がある.この方法では,任意の心位相のみ(一般的には収縮末期~拡張期)を設定した最大管電流で撮影し,その他の心位相では低管電流で撮影することにより,被ばく線量低減を図ることが可能である.心電図同期自動照射制御を併用した場合,不整脈などによりRR間隔が変化すると,最大管電流での撮影を想定した心位相において低管電流で撮影されてしまう可能性があるが,撮影中に不整脈が出現すると自動照射制御が自動的にオフとなる仕組みを備えた装置もある.患者の状態や装置の心電図同期自動照射制御の特性を見極めつつ,その適用の可否を判断す