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両横までレンズが広がる形状やゴーグルタイプのもの,自家眼鏡使用者のためのものまで,さまざまな形のものがある.レンズの放射線遮蔽効果も最大で90%あり,適切な利用は水晶体の被ばく線量低減に有効である.X線管を2個備える装置やX線管の位置を細かく変える手技では,広い範囲からの放射線を防護できるゴーグルタイプが効果的である. 手技の際に透視台の近傍に立つ術者と医療スタッフ,患者の容態管理などの目的でカテーテル室内に残る医師などは,防護眼鏡の着用が必要である.また,「労働安全衛生規則」第596条では,保護具は同時に作業する従事者の人数と同数以上を備え,常時有効かつ清潔に保持することを事業者に求めており,安全衛生管理上も病院管理者が必要な人数分以上の防護眼鏡を揃えておく必要がある90). 3.2.5 被ばく管理の問題点 a. 計測法 放射線防護衣の内側と外側に個人線量計を装着しての不均等被ばく管理が推奨されているが,使用率は約30%にとどまり,残りは均等被ばく管理が行われている.均等被ばく管理の場合,水晶体被ばくは過小評価されることになる.また,不均等被ばく管理において,眼の近傍で測定することは現行の規制で求められていないことから,頭頚部の計測で代用しており,その場合は過大評価の可能性がある91). 厚生労働省のガイドラインでは次回の改訂で以下のように変更することが検討されている.「これまでの個人線量計を用いた測定方法で放射線診療に従事した結果,水晶体の等価線量が年間20 mSvを超えた従事者は,その時点で,水晶体の等価線量限度の5年間管理の対象者とし,5 年間で100 mSvを超えないように管理する.さらに該当者には,水晶体の専用の線量計を渡し,これを防護眼鏡の遮蔽範囲内に装着して,放射線診療に従事し,十分に放射線安全に努める等の管理者からの指導を受ける」89).IVRに従事し,年間20 mSvを超える被ばくの恐れがある循環器科医は,当初から防護眼鏡の内側に専用線量計(図18)を装着して手技を行うことが推奨される. 防護眼鏡を使用し,その内側に線量計を装着することで, 60~90%の遮蔽効果がある91, 92).水晶体の被ばくは立ち位置の関係から右眼より左眼が多く,防護効果も左眼のほうが大きい.また,防護眼鏡の形状によっても防護効果に違いがあり,側面までレンズが広がるゴーグルタイプが薦められる. 現在販売されている防護眼鏡装着用の線量計は落下しやすく,また術者視野を妨げるため,普及していない.製造企業による線量計の改良が望まれる. b. 経済的負担 防護眼鏡と線量計の購入は,放射線業務従事者全体に普及させる場合,経済的負担が大きくなる.行政機関が負担するのか,各施設で負担するのか,検討する必要がある. c. 高度技術者の被ばく 慢性完全閉塞病変など,高度技術者でないと治療が成功しにくい症例が存在する.また僻地医療では医師が少なく,特定医師に放射線被ばくが集中することがある.これらの場合,新基準を超える可能性があり,医療継続が難しくなる.多くの医師への技術の伝承,僻地医療者の充実が必要である. 図17 眼と水晶体の構造(放射線審議会 眼の水晶体の放射線防護検討部会. 2018 93) より) 眼水晶体 房水チン小帯 水晶体 毛様体赤道 赤道 前嚢核後嚢 水晶体上皮細胞皮質後嚢下