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p.25 抽出テキスト

低減につながる.

法令により,放射線業務従事者は以下の等価線量限度を超えて被ばくしないように管理しなければならない. 1 5年間につき100 mSv 2 1年間につき50 mSv 3  女性については,上記の他,3ヵ月間につき5 mSv 4  妊娠中の女性については,上記の他,本人の申し出な

どにより病院または診療所の管理者が妊娠の事実を知ったときから出産までの間につき,内部被ばくに関して1 mSv 5  妊娠中の女性の腹部表面については,上記4に規定す

る期間につき2 mSv 6  眼の水晶体については,5年間の平均で20 mSv/年,か

つ,いずれの1年においても50 mSvを超えない7  皮膚については,1年間につき500 mSv

また,事業者は放射線障害のおそれがある場所の線量の測定,放射線業務従事者の外部被ばく線量の測定とその測定値に基づく各部位の等価線量の算定・記録など,種々の義務を負っている.

水晶体に関しては,原爆被爆者やチェルノブイリ事故復旧作業員などに関する疫学調査の知見を踏まえて,しきい線量が見直され,2021年4月から等価線量限度が引き下げられる.以下に各部位の従事者被ばくについて説明する.

3.2 水晶体

表13 放射線業務従事者の眼の水晶体防護のための推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

水晶体の等価線量が5 年間の平均で20 mSv/ 年,かつ,いずれの1 年においても50 mSv を超えないように管理する26). I A不均等被ばく管理で年間20 mSv を超えた従事者はその時点で5 年間を管理の対象とし,その後,水晶体専用の線量計を使用して,5 年間で100 mSv を超えないように管理する89). I A防護眼鏡は医療スタッフを含め同時に作業する人数分を用意する90). I A正面と側面からの放射線防護が可能な防護眼鏡を着用することを考慮する91, 92). IIa B

3.2.1 等価線量限度

2011年4月,ICRPは「組織反応に関する声明」において,計画被ばく状況における職業被ばくに関する水晶体の等価線量限度を,「年間150 mSvを超えない」から「定められた

5年間の平均で20 mSv/年,かついずれの1年においても50 mSvを超えない」に変更した26).この勧告の基準は国際原子力機関(IAEA)の「放射線防護と放射線源の安全:国際基本安全基準」に採用され,欧米ではすでに複数の国がICRPの水晶体の等価線量限度を法令に取り入れている.わが国でも2021年4月から,水晶体の等価線量限度が引き下げられる予定である.

3.2.2 水晶体の機能,構造,特性

水晶体は外から入ってきた光を屈折させ,網膜上に焦点を合わせるための凸レンズとしての機能を有している(図17) 93) .角膜に接する前方に単層上皮細胞層を有するほか,水晶体嚢と呼ばれる膜に包み込まれており,水晶体嚢の前半分は前嚢,後半分は後嚢,前嚢と後嚢の境界は赤道部と呼ばれる.

本来は透明な水晶体が何らかの原因で混濁することがあり,混濁が進行した症状を白内障という.白内障の主たる原因は加齢であり,60歳以上の集団では96%以上に水晶体混濁が認められるとの報告がある94).水晶体の混濁は,それによる視力障害が進行して生活の質を下げるようになると手術によって治療されることが多いが,放射線被ばくでも生じることがあり,白内障手術が必要なほどの視力障害(放射線白内障)に進行しうる.放射線白内障の発症は主として,放射線が水晶体上皮細胞の異常分化を誘発し,異形成の線維性細胞を生み,微小混濁を形成することによる.最近の報告で,微小混濁が視力障害性白内障へと進行する場合があるとされたため,しきい値(等価線量限度)が引き下げられた.

白内障手術によって人工水晶体眼または無水晶体眼となった場合は,被ばくによって混濁する水晶体が存在しないため,白内障は発症しない95).

3.2.3 被ばくの現状

新基準を満たさない放射線業務従事者のほとんどが一般医療分野である96).医師の診療科別の等価線量分布によれば,1年間で20 mSvを超えるのは循環器内科,消化器内科,消化器外科の順に多く,50 mSvを超えるのは消化器内科,整形外科,脳神経外科,循環器内科の順に多い.循環器内科に限れば,20 mSv超が15.4%,50 mSv超が0.3%であり,わが国でも新基準になった場合に基準を超える割合が高いので,早急に対応が必要である97).

3.2.4 防護眼鏡

防護眼鏡には一般的な眼鏡と同様の形のものから,顔の