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p.24 抽出テキスト

てきた77).1980年代に入り, 201Tl心筋血流シンチグラフィとほぼ同等の診断価値を有する99mTc標識の心筋血流シンチグラフィ製剤が使用されるようになり,心電図同期法の利点を活かして現在でも広く用いられている77).さらに心筋の交感神経活動の状態を反映し,特に心不全に伴う交感神経機能活性の亢進状態を評価する123I-MIBGシンチグラフィ,また心筋における脂肪酸代謝を評価し,虚血性心疾患,心筋症,不全心においてその有用性が示されている123I-BMIPPシンチグラフィもわが国において広く臨床応用されている77).

一方,PET検査において,わが国では2002年より18F-FDGによる心筋梗塞後の心筋バイアビリティ診断が保険適用となった.心筋バイアビリティ診断における18F-FDG PET検査の有用性は確立されており,ゴールドスタンダードとなっている76, 78, 79).また,心筋代謝と血流を組み合わせて血流代謝のミスマッチを検出することにより生存心筋,心筋瘢痕を鑑別することが可能で,予後評価や血行再建術の適応決定などについて有用な情報が得られる77).さらに, 82Rb, 13N-アンモニア, 15O-H2Oを用いて心筋血流定量評価が可能であり,心筋血流予備能は心筋虚血診断において重要な指標となる.

小児における心臓核医学検査は種々の先天性および後天性冠動脈疾患(主に川崎病),心筋症,心筋障害,右室圧負荷などが適応となる77).小児心筋血流シンチグラフィの施行,判定にあたっては,その特殊性に留意する必要がある77).また小児の検査に伴う被ばくについても十分な配慮が必要である.小児においては運動負荷に比べ薬物負荷の方が,心筋血流シンチグラフィの集積低下がより明瞭に出現する80).未知の冠動脈狭窄の検出や冠動脈狭窄進展の経時的評価には,薬物負荷が多く用いられる80, 81).これに対し,運動によって引き起こされる異常を評価したい場合(既知の冠動脈異常による運動時虚血の存在,運動時心電図異常の成因,心筋虚血に対する治療効果判定など)は運動負荷が選択され,目的に応じた負荷方法の適切な選択が必要である. b. 被ばくと被ばく防護の現状

心臓核医学領域での医療従事者の被ばく線量について, ICRP Publication 128(2015年)を基に心臓核医学検査で使用する放射性医薬品ごとに実効線量係数を比較してみると, 201Tl心筋血流シンチグラフィで0.14 mSv/MBq, 99mTc- MIBI心筋血流シンチグラフィで0.009 mSv/MBq(安静時),0.0079 mSv/MBq(負荷時), 99mTc-テトロホスミン心筋血流シンチグラフィで0.008 mSv/MBq(安静時),0.0069 mSv/MBq(負荷時), 123I-MIBGおよび123I-BMIPP心筋脂肪酸代謝シンチグラフィで0.032 mSv/MBq, 18F-FDG PETで0.019 mSv/MBqであり,検査や使用する放射性医

薬品によって実効線量係数は異なる81–83).

心臓核医学検査従事者の被ばくとしては,金谷らが心臓検査に携わる医療従事者の被ばく線量を推定している.心筋( 201Tl: 110~140 MBq)で0.13±0.10 μSv,心筋( 99mTc: 296~740 MBq)で0.47±0.27 μSvであった.一方,静注時の実効線量は, 99mTc製剤を185 MBq投与した場合で0.10±0.05 μSv,740 MBqの場合で0.33±0.13 μSvであり,0.5 mm鉛当量の防護衣着用により50~70%遮蔽可能であると述べている84).特に,PET検査に関わる心臓核医学診療従事者の被ばくは,実効線量率が大きいため,短時間で多くの線量を被ばくすることが想定される.そのため,放射線業務従事者個人の被ばく管理は重要であり,その低減に努める必要がある.また,管理者は放射線業務従事者の被ばく線量の評価を定期的に行い,1年間につき5 mSvを目標値とすることが望ましいとされている85).

PET検査に関わる作業者の被ばく線量として,投与・説明をする医師:25~40 μSv/月,患者誘導やPET装置操作に関わる診療放射線技師:110 μSv/月,薬剤合成,品質検査,分注などに関わる薬剤師:25 μSv/月,サイクロトロンオペレータ:100 μSv/月と,アンケート調査の結果が報告されている86).さらに,放射線業務従事者の手指被ばく線量についてFujibuchiらは,放射性医薬品の投与に関わる医師は22.4 μSv/日,PET検査の18F-FDGでは51.3 μSv/人(右指:53.9 μSv,左指:47.2 μSv),

99mTc製剤を調剤する放射

線技師は29.6 μSv/日, 18F-FDG検査に関わる薬剤師は31.5 μSv/回,放射線技師は1.9 μSv/人と報告している87).

水晶体被ばくに関して,SPECT検査の実効線量からは,年間の水晶体の等価線量も数 μSvと十分低い値と考えられるが,PET検査に関しては自動分注投与装置導入を検討し,投与時や撮影時については勤務体制の検討や遮蔽,時間の短縮を図ることで,十分に被ばく線量低減が可能であるとされている88).

3 医療従事者における線量限度

3.1 等価線量限度

医療従事者の被ばくはほとんどが患者からの散乱線によるものであり,術者が受ける線量を低減するには,患者からの散乱線を制御することが重要となる.したがって,患者の受ける線量をできるだけ少なくすることが術者の線量