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p.13 抽出テキスト

1 放射線の人体への影響

1.1 人体への影響の種類と区分

診療に伴う放射線被ばくの人体への影響は,X線検査,核医学検査など線源の位置の違い,線量の大きさの違い,全身被ばく・局所被ばくなどの被ばく形態の違い,影響の発現の仕方の違いなどにより区分される.

発現の仕方では,身体的影響と遺伝的影響,確定的影響(組織反応)と確率的影響に区分される(図2) 21, 22).

身体的影響は被ばくを受けた人のみに影響が出現する.遺伝的影響は生殖細胞が被ばくしたことにより子孫に影響が出現することであるが,ヒトについての遺伝的影響は確認されていない.また,身体的影響には,被ばくして数週間以内に症状が出る急性障害(皮膚障害や脱毛,不妊など)と,被ばくして数ヵ月から数年後に症状が出る晩発性障害(癌や白内障)がある. 1.2 確定的影響(組織反応)と確率的影響

確定的影響は,組織や臓器の一定量以上の細胞集団が放射線被ばくにより損傷を受け,組織の機能を維持できない状態となり,症状を認めることである.ICRP Publication 103(2007年勧告)では,「組織反応」とも呼ばれる22).この症状を認める最小線量が「しきい(閾)線量」であり,「組織反応の発生率が1%と推定される線量」と定義されている22).しきい線量以上では,線量の増加に伴い影響の発生率が急激に高くなる(図3).被ばくによる皮膚への影響としきい線量,発症までの期間を表5 19)に示す.心臓カテーテル検査・治療などで,皮膚吸収線量がしきい線量を超えて増えると症状が重篤になるので,注意が必要となる14, 31).

確率的影響は,放射線の影響を受けた細胞が死滅せずに修復される過程で徐々に多くの細胞が悪性化し,癌や白血病などが発生することである.線量が低くても損傷細胞は生じるため,確率的影響にしきい線量はなく,線量の増加により重篤度は変わらずに発生率が上昇する(図4).確率的影響では,年間100 mSv程度以上で有意に発癌が増

第2章 放射線安全管理の基礎知識

図2放射線の人体への影響の区分(ICRP. 1991 21), 2007 22) より作図)

放射線の影響身体的影響急性障害

晩発性障害皮膚紅斑・脱毛

白血球減少

不妊

白内障

白血病

癌

突然変異

染色体異常遺伝的影響確定的影響(組織反応)

確率的影響