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る13).照射線量を減らす,心臓が照射野にかからないようにするなどの工夫がなされているが,高線量の照射から数年~数十年後に発症がみられ,その予後は不良で,今後症例数の増加が予想される. 欧米では医療被ばく低減への取り組みが始まっている.わが国においても医療被ばくの適切な低減を進めるために,放射線防護の原則である「正当化」と「最適化」を踏まえた医療を行わなければならない.医療従事者は放射線関連の安全知識を学び,放射線を用いる検査や治療に適切な症例を選択するとともに,被ばく線量を最小限にする最適な方法を実践する必要がある. 2 放射線防護の基本 2.1 医療現場における放射線防護の認識 1895年のレントゲンによるX線の発見と,1896年のベクレルによるウラン放射能の発見以降,放射線・放射能は医療分野で積極的に利用され,多くの恩恵をもたらしたが,一方で医療被ばくによる放射線障害の問題も発生した.循環器領域でもカテーテル検査の手技を応用した経皮的冠動脈インターベンション(PCI)やカテーテルアブレーションが高度化・複雑化したことに伴い,患者の放射線皮膚障害などの事例が報告14, 15)されるようになった. これらの放射線障害に対し,1994年に米国食品医薬品局(FDA)による報告16)がなされ,わが国でも1995年に日本医学放射線学会から「IVRに伴う患者および術者の被ばくに関する警告」17)が発せられた.また,国際放射線防護委員会(ICRP)からもICRP Publication 73「医学における放射線の防護と安全」(1996年) 18),Publication 85「IVRに おける放射線傷害の回避」(2000年) 19)が刊行され,日本循 環器学会からは「循環器診療における放射線被ばくに関するガイドライン」20)が公表されて,医療における放射線の安全管理の重要性が示されている.医療現場での放射線防護に関しては,わが国の法令の基になっているICRP Publication 60(1990年勧告) 21)および最新の勧告であるPublication 103(2007年勧告) 22)の放射線防護体系の考え方が基本となる. 2.2 医療被ばくと職業被ばく ICRP Publication 60(1990年勧告)では放射線被ばくを「医療被ばく」,「職業被ばく」,「公衆被ばく」の3つに分類 し,それぞれの特徴に合わせた放射線防護の考え方を示している21). 医療被ばくは,医療行為によってX線装置より照射されたX線(直接線,または一次X線)を直接受ける被ばく,または,RIを体内へ投与されることによる被ばくである. 医療被ばくにおいて線量限度を定めた場合,慢性疾患にて放射線検査を繰り返し行う症例,生命にかかわる重篤な疾患のためカテーテル治療を行う症例に対し,医療行為を制限しなければならない事態が想定され,患者にとって不利益となる.このため医療被ばくでは,医師による医療行為の正当化が最も重要となり,正当化が適正に行われている状況下では線量限度は適用されないが,医療従事者は診断参考レベル(DRL) 18, 21, 23)を用いて患者の防護の最適 化に努めなければならない.また,家族などの介護者・介助者の被ばく,生物医学研究の志願被験者が受ける被ばくも,医療被ばくとして扱われる22, 24). 職業被ばくは,放射線業務に従事した結果として被ばくすることである.このため,個人線量計を用いた個人モニタリングによる評価が必須となる.従事者の被ばくは,患者に照射されたX線の散乱線(二次X線)による被ばく,または患者体内に投与された放射線同位元素からの被ばくとなるため,1回の検査・治療における被ばく線量は患者に比較して大幅に低いが,心臓カテーテル検査・治療で一次X線を直接手指に受ける場合などには注意が必要となる25). 職業被ばくには,正当化,防護の最適化,線量限度の3原則が適用される.わが国における職業被ばくの線量限度(表3) 21, 26)は,ICRP Publication 60(1990年勧告)を取り入れているが,ICRP Publication 118(2012年) 26)を受けて, 2021年4月より水晶体の等価線量限度が150 mSv/年から100 mSv/5年,かつ50 mSv/年へと大幅に引き下げられることになり,水晶体の線量評価および被ばく防護が重要となる27). 表3放射線業務従事者の線量限度(2021 年4 月より) 実効線量限度等価線量限度100 mSv/5年50 mSv/年女性 5 mSv/3ヵ月にて管理水晶体 100 mSv/5年かつ50 mSv/年皮膚 500 mSv/年妊娠女性内部被ばく 1 mSv/妊娠期間妊娠女性腹部表面 2 mSv/妊娠期間緊急作業時100 mSv (250 mSv福島原発事故対応時)緊急作業時水晶体 300 mSv皮膚 1 Sv (ICRP. 1991 21), 2012 26)より作表)