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p.85 抽出テキスト

nal AAAの両者を含む.上腸間膜動脈を巻き込む瘤はsuprarenal AAAで,腹腔動脈を巻き込む瘤はTAAA(Crawford IV型)と区別される.解剖学的観点から通常のEVARの治療適応にはならない.EVARを行う場合,分枝付きSGや開窓型SGを用いた分枝付きEVAR(図57)やsnorkel/chimney EVAR(図58)が選択肢になる.分枝付きEVARは限られた施設でのみ施行可能であり,分枝付きEVARと外科手術を比較した報告によると,周術期死亡はいずれも4.1%と同等の結果であった860).snorkel/chimney EVARはメインボディと腹部分枝に挿入したステントまた

はSGを平行に留置する方法であるが,既存のデバイスで完遂できる一方,ガターリークが発生することがある. PERICLESレジストリによれば周術期死亡率は3.7%であった861).いずれも本邦では保険適用外である. h. 腸骨動脈瘤

腸骨動脈瘤の多くはAAAに合併しており,孤立性腸骨動脈瘤はまれである.治療適応について確立されたデータはないが,ESVSガイドラインでは瘤径35 mm以上を推奨している321, 807, 913, 914).近年では腸骨動脈瘤に対するEVARの良好な成績が報告されている915, 916).内腸骨動脈の塞栓を伴うEVARを行うが,適切なlanding zoneを確保できる場合は脚のみで,確保できない場合にはメインボディを追加する917).内腸骨動脈を塞栓すると28%に臀筋跛行が起きるが,大半はフォローアップ中に軽快する918).その発生率は,片側塞栓(26.7%)と比較して両側塞栓(38.3%)で高い.インポテンツの発症は片側塞栓で10%,両側塞栓で16%と差はなく,虚血性大腸炎も少なかった460, 918).また,内腸骨動脈は脊髄血流の側副血行路の役割を担っており,両側内腸骨動脈塞栓後ではその後の大動脈手術において対麻痺合併に留意する919).SVSガイドラインではEVARと外科手術のいずれにおいても,少なくとも一方の内腸骨動脈を温存すべきとしている12, 461).近年,内腸骨動脈温存可能なデバイス(iliac branch device,IBE)が開発され(図59),臀筋跛行が減少したとの報告がみられる920, 921).本邦においても2016年にIBEが保険適用となった.

図59 腹部大動脈瘤の内腸骨動脈温存デバイス企業製内腸骨動脈温存デバイスによる右内腸骨動脈の再建.

治療前治療後

図57 傍腎動脈型腹部大動脈瘤の開窓型EVAR腹腔動脈を温存し,上腸間膜動脈,両側腎動脈をカバードステントで再建.

治療後

治療前

図58 傍腎動脈型腹部大動脈瘤のdouble snorkel EVAR企業製ステントグラフトとベアメタルステントによる両側腎動脈の再建.

治療前治療後