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p.83 抽出テキスト

ステントグラフト基準」を制定した(http://stentgraft.jp). 2016年からはNCD(National Clinical Database,http:// www.ncd.or.jp/)と連動して登録を行っている.2006年から2015年までの10年間に登録されたEVAR 38,003例の追跡調査440)では,術死亡率は0.08%,院内死亡率は1.07%であった.有害事象は腎機能障害(2.6%)が最も多く,エンドリークはtype I 6.7%,type II 16.6%,type III 0.6%, type IV 0.6%であった.全生存率は6ヵ月93.5%,1年88.3%,3年76.2%,5年63.7%,8年38.8%であった.また,47.6%がIFU(instruction for use)外であり,アクセス不良やlanding zoneの著明な石灰化が死亡や再介入,有害事象の強い危険因子となっていた. d. EVARの実際i. 術前評価

EVARは大動脈遮断も必要なく,血行動態に大きな影響を与えないため841),ACC/AHAならびにESC/ESAのガイドラインでは手術リスクは低~中程度として扱われている12, 866).身体活動度4 METs以上の生活で症状がなければ心精査は必要ないが,冠動脈疾患,うっ血性心不全,糖尿病,腎不全,脳血管障害などの危険因子を複数有する場合は,症例に応じた術前検査,周術期管理が推奨される866). EVARの適応を判断するために造影CT検査を施行するが,頚動脈から大腿動脈部までのCTを撮影する術前のプランニングは重要であり,アクセスルートを含めて解剖を確認する必要がある867).通常,大腿動脈からアプローチするが,血栓や高度石灰化などアクセスに不安がある場合は,腸骨動脈などからのアクセスに変更する. ii. 準備とセッティング

digital subtraction angiography(DSA)撮影が可能な透視装置がある手術室,あるいは全身麻酔が可能な清潔度の高い血管造影室で行う.各種ステントグラフト(SG)により必要な物品が異なるため,おのおののIFUを熟知するべきである.外科医の数や施設の規模が手術成績に影響するため841, 842),SVSガイドラインでは,EVARは院内死亡率やopen conversionが2%以下で年間10例以上の症例を有する施設で行うべき,とされている315). iii. 麻酔

全身麻酔,硬膜外麻酔,局所麻酔のいずれでも施行できるが,EUROSTARレジストリによれば麻酔が軽いほど低侵襲であると示唆されており868),局所麻酔は全身麻酔よりも手術時間,ICU滞在時間,入院期間が短く,術後合併症発生率も少なかった.ENGAGEレジストリもEUROSTARと同様であったが,周術期死亡率に差がないことから,硬膜外麻酔や局所麻酔を第一選択とすることは推奨されていない. iv. 手術手技

通常,大腿動脈を外科的に露出しSGを挿入するが, low profile化により経皮的に行われるようにもなってきた.経皮的アプローチは外科的アプローチと比較し,手術時間の短縮や創合併症が少ないなどの有用性が報告されている869).留置法は各SGで異なるため,それぞれの特性を理解する必要がある.SGの展開後,バルーンで圧着する.至適位置に留置されていること,エンドリークがないことを造影で確認する(図56).SVS reporting standardにおける「初期成功」は,「至適位置に留置され,術死やopen conversion,脚閉塞,type I・IIIエンドリークがない」と定義される340). v. 術中処置

SVSガイドラインには,腎動脈狭窄や上腸間膜動脈狭窄は,有症状であれば重症度や術後合併症を考慮して術前に治療介入してよいと記載されているが,無症状の場合については推奨されていない315). e. EVAR特有の合併症

EVARは外科手術よりも遠隔期合併症発症率や再介入率が高く435),注意深い経過観察が必要である.遠隔期のエンドリークは最もよく遭遇する合併症である. i. エンドリーク

エンドリーク(図52,P. 56)はSG留置後に大動脈瘤内に血液の漏れがある状態であり340),直後から発生するものと遅発性に発生するものとがある.発生原因によりtype I ~Vに分類される.エンドリークのおよそ半分(主にtype II)は自然消失するが854),抗凝固療法は術後エンドリークの発生リスクを高める可能性がある870).エンドリークによる瘤破裂のリスクは瘤内圧に関連していると考えられており,対処法はエンドリークの種類によって異なる871, 872).

図56 腹部大動脈瘤のEVAR

治療前治療後