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p.81 抽出テキスト

れる.

下腸間膜動脈再建の虚血性大腸炎予防効果は依然として賛否両論があるが830–834),RCTが行われ,予防効果がないとの結論であった834, 835).腹腔動脈や上腸間膜動脈に狭窄性病変を認める,下腸間膜動脈からの拡張した側副血行路を認める,結腸切除の既往がある,内腸骨動脈を温存できないなどの場合には,虚血性大腸炎予防のため下腸間膜動脈の再建を検討する必要がある315, 320–323, 817).

虚血性大腸炎,臀筋跛行,性機能障害,SCIなどの予防のため,従来,内腸骨動脈は少なくとも一側は再建するべきとされてきた.どちらか一側の内腸骨動脈を再建した場合の結腸虚血発生は0.3%,両側再建しなかった場合は2.6%との報告がある824–826, 835, 836).48例の両側内腸骨動脈非再建(EVAR 32例,外科手術16例)で,重症合併症を認めなかったが,臀筋跛行が42%,勃起障害が14%に発生したとの報告がある824, 836).明確なエビデンスはないが,少なくとも一側の内腸骨動脈血流を確保することが望まれる824–826). e. 遠隔期成績

後述するように(次項の「2.2.4.-b. ランダム化比較試験の結果」),解剖学的に外科手術とEVARいずれでも適応となる症例に関しては,複数のRCTによって遠隔期の全生存率・瘤関連死亡率・再治療率が報告されている.

通常のEVARの適応外である,腎動脈上部大動脈の遮断が必要となる症例に関しては,Vascular Study Group of New Englandレジストリの報告が最新かつ最大である.腎動脈上遮断を要した症例(443例)では腎動脈下遮断症例(1432例)と比較して,術後30日以内死亡率が有意に高い(3.6%対1.2%,P=0.002)ものの,遠隔期予後に関しては差を認めなかった(術後5年生存率71%) 837).

AAAに対する外科手術後は他疾患に対する開腹手術後と比較して,腹部創部の瘢痕ヘルニアの発生率が高いことが報告されている.結合織の脆弱性との関連が推定されているが,明確ではない838).到達法が経腹膜経路の場合は後腹膜経路よりも発生率が高く,約10%の症例で遠隔期に瘢痕ヘルニアがみられる839).

他の遠隔期合併症として吻合部の仮性動脈瘤が挙げられる.Edwardsらの報告では中枢吻合部の仮性瘤は術後8年では1%の症例に認めるのみだが,術後15年では20%に認められ,発見までの平均期間は12年であった840). 2.2.4 血管内治療

表27 非破裂性腹部大動脈瘤のEVAR の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

外科チームのバックアップ下に行う841, 842). I C施行後は生涯にわたり経過観察を行う317, 431, 432, 768, 843, 844). I A解剖学的要件を満たし,かつ中枢landing zone の条件を満たす症例に行う423, 425,

426, 845–854). I A解剖学的要件を満たし,外科手術のリスクが高い症例には考慮する317, 423, 425, 426, 428, 431, 432, 437, 768, 843, 844, 854–858).(表10,P. 57を参照) IIa A施行時に下腸間膜動脈のコイル塞栓の倂施を考慮する859). IIa B施行時に少なくとも一側の内腸骨動脈の順行性血流の温存を考慮する315, 461). IIa B中枢landing zone 以外の解剖学的要件を満たさない症例には考慮してもよい845–853). IIb B傍腎動脈腹部大動脈瘤に考慮してもよい860, 861). IIb C

EVARは,1991年にParodiによって初めて報告され世界的に注目を浴びた862).本邦においても2006年に企業製のステントグラフト(SG)が保険承認され,急速に普及している.近年ではEVARの利点・欠点を理解したうえで治療適応を適切に選択することが重要である. a. 適応とデバイス

適応は外科手術の場合と同じである(本章の「2.2.1. 手術適応」P. 79を参照). i. ステントグラフト

現在,本邦では5種類の腹部用SGが使用可能である.解剖学的要件は各SGにより違いがあるため,それぞれのIFU(instruction for use)を参照すべきである.EVARを行うにあたっては,まず造影CT検査を行い,解剖学的にEVARに適しているか否かを評価する.IFUを逸脱することは医師の裁量において可能であるが,短期・長期成績はともに悪化する可能性があることは認識しておく必要がある845–852).特に,中枢landing zoneの適応は遠隔期成績に強く影響を及ぼすため,適応を順守すべきである849, 850, 853). ii.EVAS

近年,EVARに代わる手術としてEVAS(endovascular