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p.79 抽出テキスト

術1.0%,EVAR 0.7%であり794),前述の欧米の報告に比して良好である.このため本邦では瘤径≧50 mmを侵襲的治療の適応としている施設も多く,瘤径≧50 mmでの適応も許容される.また,女性は男性よりも破裂リスクが4倍高いとされ311, 763, 795),瘤径45 mmの女性の破裂リスクは瘤径55 mmの男性のリスクと同等であるとのメタ解析795)もあり,本邦の良好な手術成績を考慮すると,体格も男性に比べ小柄な女性については,瘤径45 mmを超えた場合は相対的な適応と考えることも許容される.しかしながら,本邦において上記4研究のようなRCTはおこなわれておらず,本邦における現状の適応の推奨度は必ずしも高くない.

2.2 非破裂性腹部大動脈瘤

2.2.1 手術適応

表24 非破裂性腹部大動脈瘤の侵襲的治療の適応の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

瘤径≧55 mm の場合,侵襲的治療を行う790, 791, 796–798). I A有症状の症例ではすみやかに侵襲的治療を行う. I C瘤径≧50 mm の場合,侵襲的治療を考慮する. IIa C嚢状瘤や急速拡大(≧5 mm/ 半年)する瘤には侵襲的治療を考慮する. IIa C

AAAと腸骨動脈瘤の治療には外科手術(人工血管置換術)とステントグラフト内挿術(EVAR)があるが,適応については差がない. a. 腹部大動脈瘤

欧米のガイドラインでは径55 mm以上が侵襲的治療の適応である.ただし,本邦では手術成績が良好であることより,適応を径50 mm以上としている施設も多い.径55 mm未満の動脈瘤に対する治療方針を決定するためのRCTが4つ(2つは外科手術790, 791),2つはEVAR 797, 798)による)報告されているが,いずれも経過観察群と早期治療群との間で遠隔期生存率に差はなく,コストの面からも経過観察が推奨されている.多くの動脈瘤は経時的に拡大することが確認されており796),経過観察中に瘤径が治療適応に到達した時点で治療を考える.また,同じ瘤径であっても女性の破裂率は男性の4倍と報告されており795),女性の場合は手術適応となる瘤径を男性より小さく設定すること

は合理的といえる.最大短径が40 mm未満の瘤は破裂のリスクがほとんどないので,手術適応としない.ただし,嚢状瘤や瘤の一部が突出している瘤は破裂のリスクが高いため,瘤径にかかわらず手術を検討する必要がある.拡大速度は瘤径により異なる(表23).RCTはないが,拡張率5 mm/半年以上で手術とする意見が多い799, 800).いずれにしても,有症状のAAAは破裂のリスクがあり,手術適応と考えられる801–803).

また,末梢への塞栓源となっているAAAは,むしろ径の小さいものが多い788, 804).頻回に塞栓症を認める場合は侵襲的治療を考える.感染性AAAは破裂の可能性が高いため,瘤径にかかわらず,主に外科手術を行う805, 806).凝固異常の原因となっているAAAは侵襲的治療の適応となりうる83, 806). b. 腸骨動脈瘤

歴史的に瘤径30 mm以上が治療適応とされることが多かったが,ガイドラインは存在していなかった.2019年のESVSガイドライン321)で初めて「3.5 cm以上で治療を考慮してもよい」とする基準が示されたが,確たるエビデンスに乏しい.ESVSガイドラインでも,最近の後ろ向き多施設研究の結果から,高齢男性では40 mmまでは経過観察が推奨されることも言及されている807).

2.2.2 術前評価

表25 非破裂性腹部大動脈瘤の術前評価の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

運動耐容能が低い症例(4 METs 未満)や有意な心血管疾患(不安定狭心症,非代償性心不全,重度の弁膜症,不整脈など)を有する症例では,術前に循環器科医による精査・治療介入を行う322, 323). I C

a. 大動脈瘤,合併する他部位の動脈瘤の評価

AAAの95%は腎動脈分岐以下に生じるが83, 808),腎動脈直下より瘤化している症例では腎動脈分岐上部での大動脈遮断が必要となる.その他,12%に合併するTAA 808),腎動脈下極枝の存在,約1/4に合併する内腸骨動脈瘤,3.5%に合併する末梢動脈瘤(大腿動脈,膝窩動脈) 809, 810),などの有無を画像検査で確認する. b. 手術リスクの評価

AAAの手術死亡率に影響する因子として,患者の心機能,肺機能,腎機能,年齢,腎動脈と瘤の位置関係,内腸骨動脈瘤合併の有無,大動脈壁の石灰化の程度,炎症性