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p.67 抽出テキスト

が要求されない大動脈解離も良い適応である.初期成功率は91%で,3年時の瘤関連死亡回避率は97%,再治療回避率は84%と報告されている604).IFU(instruction for use)内,保険適用内で使用できるため,解剖学的要件を満たす高リスク患者の弓部大動脈瘤に対して第一選択である. 3  in situ開窓術:SGを用いて頚部分枝をカバーした後,

鎖骨下動脈や頚動脈から逆行性にレーザーや穿刺針(retrograde in-situ branched stent grafting,RIBS)などを用いてSGを開窓し,カバードステントを留置することにより頚部分枝血流を確保する方法である.保険適用外使用であるが,再建した頚部分枝は100%の高い開存率を認め,術後type I,IIIエンドリーク発生の報告も少なく,良好な成績が報告されている607–609).以上のように,完全血管内治療は高リスク患者には有用な手技である.デバイス選択については保険適用のある開窓型SGが第一選択に挙げられるが,解剖学的要件を満たす弓部大動脈瘤は多くない.そのため開窓型SGの適応外の弓部瘤については,術後のエンドリーク発生率を考慮すると,in situ開窓術が短期成績は良い.しかし,長期成績についてはいまだ不明であり,今後の報告が待たれる.

1.2.3 下行・胸腹部大動脈瘤

a. 下行大動脈瘤の外科手術表15 非破裂性下行大動脈瘤の外科手術の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

瘤の病変範囲を明確にし,主な肋間動脈など脊髄虚血に関連する潜在的リスクを特定するため,術前にCTA またはMRA検査を行う626, 627). I C冠動脈疾患の病歴を有する症例では,術前に潜在的な心疾患の重症度を明確にするための追加検査を考慮する628). IIa C症候性または重症の無症候性冠動脈疾患を合併する症例では,術前に冠動脈血行再建術を考慮する629). IIa C術前に肺,腎臓,脳血管に関連した周術期リスク評価を考慮する630–632). IIa C TEVAR の適応外の瘤径≧60 mm には外科手術を考慮する384, 633). IIa C TEVAR の適応外の瘤径55~59 mm には外科手術を考慮してもよい384, 633). IIb C

i. 瘤径と手術適応

大動脈瘤は径が60 mmになると,年間10%の破裂リスクがあることから手術適応と判断される.一方,径55 mm

未満の大動脈瘤への介入は,生存の利益をもたらさないかもしれない.しかしながら,女性または遺伝性結合織異常の症例においては,50~55 mm以上が手術適応となる384).また,初回CT検査で55 mm以上の場合は,手術リスクを考慮しながら手術適応を検討する.

経過観察となった症例では,半年後にCT再検査を行い,大動脈径の拡大速度に応じて,その後の検査間隔を考慮する.瘤径拡大速度は,TAAで1~4 mm/年535, 634, 635)といわれているが,小径では遅く,瘤径の拡大とともに速くなるため,観察期間は瘤径により判断する.半年で5 mm以上拡大する場合は破裂のリスクが高いため,手術を方針とする.嚢状瘤では径が大きくなくても破裂のリスクが高いので,形態にも留意する. ii. 外科手術

下行大動脈は走行が直線的であるためTEVARを容易に施行でき,エンドリークやステントグラフトのずれなどの問題も発生しにくいので,TEVARのメリットが大きい領域である.デバイスの進歩とともに安定した成績が得られ,今や第一選択の治療になりつつある.そのため下行大動脈瘤に対する外科手術は,若年患者やTEVARに不向きな患者に対して行うことが一般的である.外科手術の主な適応は以下のとおりである.・ 外科手術のリスクが高くない,比較的若年の患者384)・ Marfan症候群などの遺伝性結合織疾患の患者・ 近位部または遠位部のlanding zoneがない患者・ 大動脈瘤へアクセスするための動脈が欠如633),大動脈/

腸骨動脈へのアプローチが困難,すなわち”hostile” abdomen(頻回の腹部手術後,人工肛門増設術後,放射線治療後など)の患者,または大動脈腸骨動脈に重度の動脈硬化性疾患をもつ患者・ 腹部大動脈手術の既往があり,骨盤内の血流循環が低下

し,腰動脈の閉塞した広範囲の胸部下行大動脈瘤であり, TEVAR施行後にSCIのリスクがきわめて高いと判断される患者626, 627, 636, 637)・ 胸部の椎体(慢性疼痛症候群),気管または左主気管支(呼吸困難),食道(嚥下困難)などの隣接臓器に対して圧迫による症状をもつ患者638)肋間開胸する肋間の位置とアプローチ方法,また術中補助手段の使用の観点からも,瘤の大きさと位置が手術戦略の決定に影響を及ぼす.そのため,3次元画像を含むCT検査が術前の評価の中心となる.瘤の大きさ,壁在血栓の有無,上下方向への進展,周囲臓器との関係を明らかにする.近位下行大動脈に瘤が存在する症例では,外科手術に際し弓部分枝動脈との位置関係が問題となるので,瘤の