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p.61 抽出テキスト

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ティベータを抑制し529),瘤拡大抑制に効果的に働く可能性がある.スタチン服用患者では非服用患者と比べ,死亡率や合併症発症率が低下し,手術回避率が向上したという報告もある529).

1.1.3 運動制限,生活指導

喫煙,暴飲暴食,過労,睡眠不足,精神的ストレスなどを避けるよう指導する.また,運動時には血行動態の変化から大動脈瘤壁のずり応力が大きく変化しうるため,重量物の挙上や牽引など急激な血圧上昇を生じるような急な等張性運動は避けるべきである530).TAA非手術例では大動脈解離を合併することがあり,その多くは労作や安静と無関係に通常の運動強度で発症するとされるものの,少数例では等張性運動時に発症するとされている531).他にも,排便時のいきみ,持続する咳き込みなども急に血圧を上昇させることから,注意を払うよう指導する.十分な降圧薬服用下で,トレッドミルなどの運動負荷時に収縮期血圧が180 mmHgを超えないと確認できた場合には,軽度のランニングやエアロバイクなどの有酸素運動は許容される10).

1.1.4 内科治療の限界の見極め

TAAの破裂時期や瘤径の拡大速度を予測することは困難である.破裂の危険因子は,下行・腹部大動脈径,高齢,疼痛,COPD,などとされている.また,心血管イベント発生率は胸部大動脈の瘤径が50~60 mmで年間6.5%, 60 mm以上で年間15.6%とされる118).Marfan症候群や他の大動脈炎などを合併しないTAA患者では,瘤径の拡大速度は4 mm/年と報告されている118).このため,前述した内科治療を行ったうえで,定期的にCT・MRI検査により瘤径(最大短径)や形状変化を評価し,破裂のリスクや死亡率が侵襲的治療介入によるリスクを上回ったと判断される場合,侵襲的治療介入を検討する.

1.1.5 画像のフォローアップ

基本的にはTAA発見時の画像から6ヵ月後にCT・MRI検査を再施行し,瘤径に著変がなければ1年ごとに画像検査で経過観察を行う532).急速な拡大がみられる例では, 3~6ヵ月ごとの経過観察が望ましい.大動脈基部や上行大動脈に拡大がみられる患者では,心エコー検査で大動脈弁閉鎖不全や二尖弁の有無をチェックする必要がある533).大動脈瘤のサイズに応じてフォローアップ間隔を変える必要があり,以下の推奨がなされている95). 1  大動脈基部・上行大動脈瘤:35~45 mm未満は6~

12ヵ月ごと,45~55 mm未満は3~6ヵ月ごと2  遺伝性結合織疾患が疑われる大動脈基部・上行大動脈瘤:35~40 mm未満は6~12ヵ月ごと,40~50 mm

未満は3~6ヵ月ごと3  胸部弓部・下行大動脈瘤:45 mm未満は12ヵ月ごと,

45~55 mm未満は3~6ヵ月ごと

1.1.6 侵襲的治療の適応

1年以内に致死的状況に陥る可能性が,径60 mm以上で15.6%,径50~60 mm未満で6.5~11.8%と報告されており118),一般的に胸部最大短径55 mm以上,あるいは6ヵ月で5 mm以上拡大する急速増大例では,侵襲的治療(外科手術,TEVAR)を考慮する.

Marfan症候群のような遺伝性結合織疾患や先天性二尖弁,大動脈縮窄症の例では45 mmを超えた場合に侵襲的治療を検討する.嚢状の大動脈瘤では径が大きくなくても破裂のリスクが高いので,形状にも留意する.

1.1.7 遺伝性・家族性の評価

TAA患者,特に若年発症の場合,また大動脈瘤とすでに診断されている患者の一親等以内で大動脈の拡大や解離を認めた場合には,遺伝性また家族性大動脈疾患を評価する.TAA患者の一親等以内の親族は20%の確率でTAAを有するとの報告もある534).

胸部大動脈瘤は瘤径何mm以上で侵襲的治療の適応となるか推奨大動脈基部・上行大動脈では,遺伝性大動脈疾患がない場合は大動脈径≧55 mm,先天性大動脈二尖弁(大動脈解離の危険因子または併施する開心術がない場合)では≧55 mm,Marfan症候群では ≧45~50 mm, Loeys-Dietz症候群では≧40 mm,弓部大動脈以下では遺伝性大動脈疾患がない場合は,弓部で≧55 mm,下行・胸腹部で≧60 mmを侵襲的治療(手術またはTEVAR)の適応基準とする.ただし,患者背景によっては,より小径での治療が望ましい(P. 62の表12,P. 141の表49,P. 145の表52を参照).

侵襲的治療の適応は破裂のリスクと治療のリスクとの兼ね合いで決定される.

破裂のリスクは主に大動脈径と遺伝性大動脈疾患の有無に影響され,形状や拡大速度にも影響される.また,大動脈拡大に伴い,解離を起こしやすくなる.破裂あるいは解離が発生する率は40 mm未満で7.1%,40~50 mm未満で8.5%,50~60 mm未満で12.8%,60 mm以上で45.2%とされる535).解離や破裂などの合併症を起こす確率