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p.49 抽出テキスト

1.4 急性大動脈解離

急性大動脈解離の診断・治療カスケードを図49に示す.急性大動脈解離を疑う場合には,素早く身体所見,バイタルサインをとり,血行動態が安定していればすぐに画像診断を行う.身体所見としては,四肢の脈拍触知,心雑音,腹部血管雑音などの有無が合併症(続発症)の早期発見につながる.心電図による心筋虚血の有無,心エコー検査による大動脈内解離フラップ,大動脈弁閉鎖不全,心嚢液の有無,などを評価する.引き続きCT検査を行い,確定診断に至る.血圧が高く疼痛が強い場合は降圧,鎮痛を図る275).血液検査による炎症所見やDダイマーの測定,血液ガスによる臓器虚血を示唆する乳酸アシドーシスの有無などの評価も重要である.

単純CTと造影CTの早期相および後期相を撮像し,解離の診断ならびに形態,解離の進展と範囲,entryの同定, malperfusionの有無について正確な診断を行う.malperfusionを合併する場合,static obstructionとdynamic obstructionの判断に迷う症例では,血管エコー検査も有用である.急性A型解離と診断された場合,緊急・準緊急手術

を考慮する.急性B型解離と診断され,合併症を有する場合(complicated型)には,侵襲的治療の適応となる.循環器内科医,心臓血管外科医,放射線科医などによる専門チームによる迅速な判断,治療が必要となり,集学的治療が可能な施設での治療が望まれる.一方,uncomplicated型においては保存的治療が選択される.しかしながら,その経過中に合併症を引き起こすこともあり,その場合には集学的治療が可能な施設との連携が望まれる.

1.5 慢性大動脈解離

慢性大動脈解離の診断・治療カスケードを図50に示す.ほとんどが急性大動脈解離発症時に診断された後のフォローアップ症例であるが, CT検査やMRI検査において偶然に無症候性大動脈解離が発見される場合もある.重要なことは,偶発的発見の大動脈解離が急性期でないことを確定診断することである.胸背部痛などの症状の出現時期を問診するとともに,血液検査による炎症反応や,心エコー検査での心嚢液の有無と輝度,心電図所見,単純CT検査

図49 急性大動脈解離の診断・治療カスケード

急性A型解離急性B型解離

急性大動脈解離を疑う所見

病歴□ 胸背部痛□ 分枝血管の虚血症状□ 既知の大動脈疾患身体所見

□ 四肢脈拍触知不良□ 心雑音の聴取□ 血圧左右差>20 mmHg □ 白血球/CRPの上昇□ D ダイマー>0.5μg/mL □ アシドーシス

血液検査結果

1.  心電図検査2.  心エコー検査3.  胸部 X 線検査上記検査で以下の評価を行う。急性冠症候群,心嚢水,壁運動,大動脈フラップ,心拡大,胸水

造影または単純CTで急性大動脈解離と診断

緊急手術保存的治療緊急手術

または保存的治療侵襲的治療を検討

専門チームによる迅速な判断および治療が必要

偽腔閉塞合併症いいえはいいいえはい