p.41 抽出テキスト
・ MRI禁忌のデバイスを体内に有する患者146)(デバイスに 関しては,MRI検査に対応しているものや条件により撮像が可能なものなど,区分けがなされている147).添付文書による確認が必要であるが,ウェブ上の「医療機器のMR適合性検索システム」〔メディエ株式会社〕を用いて確認することもできる).また,CTA検査の代替検査としてMRA検査を行う場合やCTA検査とMRA検査を比較する場合は,下記に留意が必要である.・ MRAは内腔のコントラストは高いものの,壁構造や壁周 囲軟部構造のコントラストは不良である148).・ 石灰化病変に関しては描出が不可能.・ MRAの空間分解能は1~2 mm程度であり,CTの空間 分解能より劣る.・ MRI特有のアーチファクト149). 3.3.2 撮像法 a. 造影MRA検査 ガドリニウム造影剤を静注しながら,dynamic MRAの撮像を行う150).近年,撮像技術の改善により,2秒から十数秒程度の時間分解能で連続した多時相の造影MRAを撮像するtime-resolved MRA撮像が主流となっている151).大動脈解離の真腔から偽腔への血流動態や,TEVAR/ EVAR後のエンドリークの緩やかな流れが描出可能となり,その描出能はCTAよりも優れるとされる152). b. 非造影MRA検査 非造影MRA 150)の撮影法には主に2つの方法がある.一つは心電図を併用し,収縮期と拡張期において動脈血流の信号が異なることを利用して動脈血を可視化する撮像法であり,fresh blood imagingなどと呼称される153).ただし,流速が遅い血流の描出は不向きである.もう一つは冠動脈MRAなどにおいて用いられる手法と同一で,血液構造を高信号に保ちつつ,高速に画像を取得可能なsteady-state free precession(SSFP)シーケンスを基盤とした撮像法である154).ただし,特有のアーチファクトが生じたり,血栓信号が血液信号と類似したりして,血栓と内腔の判別が困難な場合がある149). c. 血管壁MRI検査 2D撮像法では1~2分程度,3D撮像法では5~10分程度の時間を要する.T1強調像とT2強調像の両者から,大動脈瘤壁や大動脈解離の偽腔内血栓の発生・変化の時相を捉えることができる155, 156).また,脂肪抑制T2強調像や造影剤投与後のT1強調像にて,高安動脈炎などの大型血管炎における血管壁の炎症を可視化することができる157). 3D撮像法では,血管壁構造や血栓構造の連続性を捉えることにより,形態診断と質的診断を組み合わせた評価が容 易となる156).ただし,逆流や乱流,遅延血流などが存在する場合には血流内腔が高信号となり,内腔と血管壁の分離が不十分になるリスクがある.また,大動脈腫瘍の場合,拡散強調画像を用いることにより腫瘍の質的評価が期待できる158). d. シネMRI検査 心機能解析で一般的に用いられる撮像法で,血管内腔を高信号に保ち,高速での信号収集が可能なSSFPシーケンスを用いる.1心拍間を20~30程度に分割した収集が可能である149, 150).得られたデータから大動脈弁や剥離内膜の動態を評価できる.解離のentryにおいてはジェット血流に伴う乱流が生じ,SSFP画像において信号の低下が生じるので159),間接的にジェット血流/異常血流を捉えることが可能である. e. phase contrast MRI検査 血流速度を定量可能な撮像法で,2D法の一断面であれば,十数秒~1分程度で撮影可能である160).1心拍間を20 ~30程度に分割してデータを収集,断面に対して直交する血流速度を定量することで,逆流や脈波伝播速度などの異常血流を捉えることができる161).近年,この2D phase contrast MRIを3次元方向に拡張した4D flow MRIが実現し162),複雑な血流動態が可視化され,血管壁にかかる壁ずり応力など新たな評価指標が測定可能となることが期待されている163, 164). 3.4 Adamkiewicz動脈の同定 胸部下行・胸腹部大動脈手術の最も重篤な合併症の一つに脊髄虚血に起因する対麻痺がある.この脊髄虚血を回避するため,脊髄を栄養するAdamkiewicz動脈をCT・MRI検査を用いて術前に同定することが試みられている.本邦で行われた大規模な臨床研究(Japanese Study of Spinal Cord Protection in Descending and Thoracoabdominal Aortic Repair [JASPAR]レジストリ)でその有用性が確認された165). 3.4.1 CT検査 Adamkiewicz動脈を描出するために,薄いスライスで広範囲の撮影が可能である16列以上のMDCTを用いる119, 166–168).スライス厚は0.5~1 mm程度である.造影剤は高濃度製剤を急速に注入したほうが描出率は高い168). Adamkiewicz動脈の描出には画像処理装置を用い,multiplanar reconstructionで脊柱管内を斜位冠状断像で観察する.Adamkiewicz動脈は前脊髄動脈と合流する際に特徴