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p.40 抽出テキスト

i. 三腔解離

偽腔開存型解離の中で特殊な解離形態として三腔解離があるが,慢性解離に再解離が起きて3腔を呈したものである(図42).Marfan症候群に合併する率が高く,上行~弓部大動脈の人工血管置換術後に下行大動脈に生じることが多い.三腔解離における第2偽腔の多くはre-entryがなく,盲端となり下行大動脈に限局するが,re-entryがある場合では下行大動脈から腹部大動脈まで広範囲に進展しやすい. ii. 大動脈瘤と解離の合併

既存の動脈硬化性大動脈瘤に大動脈解離を合併したものである.従来,動脈硬化は解離の直接的な原因とはされず,瘤と解離との関連は検討されていなかったが,最近の報告では決してまれではない141, 142).既存の瘤と新たに発症した解離との関係はさまざまであり,解離は瘤から起始するものもあれば,瘤の部位で解離の進展が停止することもある.きわめてまれではあるが,大動脈瘤を越えて解離が長軸方向に進展することもある. 3.3 MRI検査

3.3.1 適応

多くの大動脈疾患において,MRA検査はCTA検査とほぼ同等の正診率を有する143, 144).MRI検査の利点として, X線被曝がないことに加えて,black-blood MRIを用いた血管壁/血栓評価,シネMRIを用いた大動脈弁や剥離内膜の動態評価,phase contrast MRIを用いた血流動態解析などの,他のモダリティーでは収集不可能な質的情報を得ることができる.一方,撮像時間が長いこと,全身状態のモニタリングが難しいこと,緊急対応が困難であることなどから,全身状態が不安定な急性期には不向きである144).また,多くの場合,急性期の大動脈疾患の画像診断として造影CTが施行されているため,MRA検査が施行される状況は限られている.

大動脈疾患に対してMRIの適応となる検査は以下のとおりである.・ 妊娠可能な女性や小児の大動脈疾患のフォローアップ・ 大動脈疾患の遺伝リスクを有する患者のスクリーニン

グ145)・ 高度腎機能障害や喘息患者の非造影MRA・ TEVAR/EVAR後のエンドリーク評価・ 血管壁の質的診断や炎症評価・ 大動脈疾患に合併した弁疾患や剥離内膜の動態評価・ 大動脈疾患により励起された血流状態異常の評価

一方,MRIの適応でない症例,検査として以下が挙げられる.・ 全身状態が不良で注意深いモニタリングが必要な症例・ 閉所恐怖症・ CTにて高度のアーチファクトが想定されるTEVAR/

EVARとその近傍の評価

図41 大動脈解離による臓器虚血のメカニズム(造影CT) a: 上腸間膜動脈に解離が波及し,上腸間膜動脈真腔(↑)は狭小化している.F:偽腔,T:真腔. b: 真腔は偽腔により高度に圧排されており,真腔より分岐する上腸

間膜動脈(↑)の血流が低下している.

F T

F

T

a:static obstruction b:dynamic obstruction

図42 Marfan 症候群に合併した大動脈三腔解離